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わたしに会うまでの1600キロ

リース・ウィザースプーン主演のヒューマンドラマ、「わたしに会うまでの1600キロ」(Wild)を見ました。全米ベストセラーとなったシェリル・ストレイドの自叙伝を、「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン・マルク=ヴァレ監督が映画化。脚本は「17歳の肖像」のニック・ホーンビィ。

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DVの父親と離婚し、女手一つで育ててくれた最愛の母(ローラ・ダーン)を亡くしてショックを受けたシェリル(リース・ウィザースプーン)は、優しい夫を裏切り、薬と男に溺れる自暴自棄の生活を続け、ついには結婚生活が破綻してしまいます。

すべてを失ったシェリルは、大自然と向き合うことで自分の姿を見つめ直そうと、まったく経験のない1600kmのトレイルを歩くことを決意します...。

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リース・ウィザースプーンが、アメリカのトレイルを歩く映画、というので楽しみにしていました。映画は、リース演じるシェリルが荒れた山の中腹で登山靴を脱いで、靴擦れで血まみれになった足の手当てをしている間に、その靴を谷底に落としてしまう...という最悪の事態からはじまります。

彼女が歩いているのは、西海岸のカリフォルニアからオレゴンにかけて、シエラ・ネバダ~カスケード山脈を縦走するパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)。映画のHPに地図がありますが(コチラ)、日本列島が丸ごと入るほどの長い距離。それを初心者の彼女が、3か月かけて踏破するというのです。

何しろ初心者なので、道具の選び方からわからない。足は血だらけにしてしまうし、荷物は余計なものを入れすぎて重くて背負えないほど。燃料を間違えてコンロが使えず、何日も冷たいおかゆを食べることになる始末。

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何が彼女をそこまで追い込んだのか...映画は、彼女が山道で悪戦苦闘し、ただひたすらに前に進む姿を追いながら、何度も過去がフラッシュバックする形で、彼女のこれまでの人生を明かします。

最愛の母を亡くしたとはいえ、理解ある夫がいながらどうしてあんなに自暴自棄になったのか...正直理解できない部分もありましたが、どんなに苦労しても決して希望を失わなかった母の命を救えなかったことで、シェリルは自分を責め、自分だけが幸せになることが許せなかったのかな...?と想像しました。

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大自然相手の女性の一人旅は、危険もたくさんありますが、中継地点でほっとくつろいだり、ベテランハイカーたちに助けてもらったり、ルートの途中で雪が残って歩けないところは、無理せず迂回路を歩いたりしながら、シェリルはただひたすらに歩き続けます。

私もアメリカでトレッキングのおもしろさに目覚め、旅先で何度か日帰りのトレイルを楽しみましたが、この映画では、あえて景色のよい場所をなるべく映さないようにしているように感じました。それはおそらくスタッフや作者が、この作品を観光映画にしたくなかったからではないかな?と思います。

ゴールも実にあっさり描かれていましたが、私はそこにかえってリアリティを感じました。人生だって毎日お祭りがあるわけはなく、ゴールがバラ色とは限らない。でも毎日の小さな一歩は、確実に自分の糧として残る...シェリルに自分を重ねつつ、そんなことを思いました。

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原作者のシェリル・ストレイドさん。映画のテーマ曲となっている「コンドルは飛んでいく」、それからシェリルがトレイルの中継所に書き残していく”名言”がよかった。

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映画」カテゴリの記事

コメント

セレンさん☆
ご覧になられたのね!?
やっぱり本場アメリカでトレイルの経験がおありになるから、より一層大変さも爽快さもリアルに感じることが出来たのではないかしら?
なるほど~~あえて美しい景色は抑えめに映していたのですね。
確かに観光映画になっては意味がないですものね。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2015年9月16日 (水) 09時49分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
この映画、初日の1回目に見に行ったのですが
記事にするのがすっかり遅くなりました。
女性向けのサイトや雑誌で取り上げられていたせいか
私が見た回は満席でしたよ。

私が歩いたのはお気楽なトレイルで
彼女のようなたいへんさは全く味わっていないので
えらそうなことは言えないのですが...

女性の自分探しの映画って、とかく美しい風景があったり
すてきな出会いがあったり、というのが多いですが
そういうのをまったく排除しているところに
作り手の真摯な思いが伝わってきました。
いい作品でしたね。

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2015年9月16日 (水) 16時35分

こんばんは。
リースって年と共に良い女優になっていくようで素敵です。

過酷過ぎる冒険旅行は彼女にとって必要なことだったに違いありません。
旅は心を癒してくれますから....どのような旅であっても。

アメリカの大地ってほんとに広大なのだと切に思いました。
そしてやはりこれは女性が共感する映画だと感じました。

投稿: margot2005 | 2015年9月16日 (水) 20時19分

1600km、素人がなかなか歩けるものではありませんね。
ゴールもたんたんと、とご紹介がありましたが、
達成後は、意外とそんな感じなのかもしれません。
非日常の中の中の日常・・・
あまりそのような強烈な経験がありませんが、わかるような気がします。

投稿: イザワ | 2015年9月17日 (木) 02時14分

「奇跡の2000マイル」との違いを確認したくて
早く観たいのですが
先日、新宿のミニシアターに行ったらなんと満席!
仕方なく他のを見る羽目に。
もう少し大きなところでやってくれたらいいのに~

投稿: zooey | 2015年9月17日 (木) 08時53分

☆ margot2005さま ☆
こんにちは。

若い頃のリースもキュートでしたが
ウォーク・ザ・ラインの頃から、実力派のいい女優さんになってきましたね。
彼女のさばさばとした人柄、好きです。

どうしてあんなに危険が伴う過酷な旅を...と思いましたが
彼女にとっては、自分をとことん痛めつけることが
どうしても必要だったのでしょうね。
とてもまねはできないけれど、共感できる作品でした。

投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2015年9月17日 (木) 10時26分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
1600km、素人がなかなか歩ける距離ではありませんが
素人だからこそ怖いもの知らずでチャレンジできたのかもしれません。
最初は2分おき(だったかな?)にやめようと思ったそうですが
結局最後まであきらめずに歩き通したのは
みごとというほかありませんね。
それほど強い決心だったのでしょう...
誰にでもまねのできることではありませんが
勇気づけられる作品でした。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2015年9月17日 (木) 10時42分

☆ zooeyさま ☆
こんにちは。

この作品、女性誌などでも取り上げられていましたが
そのわりには上映館が少ないのですよね。
私は(予約して)シャンテで見ましたが、やはり満席でした。

奇跡の2000マイルとの違いも気になります☆

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2015年9月17日 (木) 10時49分

おや、バックパッカーですね。日本では70年代にアメリカから輸入され、私も一基購入したものです。要は金属フレームの背負子ですが、結果的には日本ではあまり根付きませんでした。理由は簡単で、日本の山道には適さなかったからです。灌木が多く、バックパックでは引っかかってしまうことが多く、日本の登山道向きではなかったからです。
反面、徒歩旅行ならば向いていると思いますが、日本人あまり歩きませんね。電車やバスなどの交通網が極度に発達していることも一因でしょう。
私自身はワンゲル部で、厭と云うほど歩いています。九州南部縦断、四国縦断、対馬島縦断など三週間ほどで200キロ前後をすべて徒歩でこなしています。
歩くのって、けっこう楽しいですよ。私は歩きながら考える癖があるので、今でも都内を徒歩で散策しています。銀座~渋谷、銀座~新宿は途中で美味しい店も多く、楽しい散歩道です。まァ、最大の問題は時間が十分取れないことですかね。

投稿: ヌマンタ | 2015年9月17日 (木) 10時53分

☆ ヌマンタさま ☆
こんにちは。
この映画、主人公の女性が自分を見つめ直す旅ですが
ワンゲル部で何週間も歩いていらっしゃるヌマンタさんには
また違う視点で楽しめるかもしれません。

私ももともと街歩きは好きでしたが
最近は時間優先で乗り物で移動することが多いですね。
地図を見るのは好きなので、思わぬルートを見つけると
うれしくなります。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2015年9月17日 (木) 11時14分

アメリカの自然って、とにかく広大ですから、素人がヘタに歩けないなって、コロラドの雪山に行ったときに感じました。アパラチア山脈にハイキングに行った時も、どこまで標識を信じてよいのか途中で怖くなって引き返した臆病者です(苦笑)欧州の森は歩いていれば抜けられますが、アメリカはそうはいかない、野垂れ死にするか熊に襲われるが先かって、真剣に思いました。来月、アパラチアに再度挑戦するのですが、ほんのちょっと自然をかじっておしまいになりそうです。
でも、グランドキャニオンあたりをさまようって、ほんのちょっと興味があります、ちゃんとしたガイド付きで。一人は無理だなぁ。

リース・ウィザースプーン、私はやっぱり『Legally Blonde』が一番好きです!今年、Hot Pursuitって、くだらない映画があったのですが、この映画の彼女も好きです。サザンアクセント丸出しの映画でしたが、彼女は明るくコメディが一番似合っているなと思いました。

投稿: Schatzi | 2015年9月18日 (金) 05時19分

☆ Schatziさま ☆
こんにちは。
アメリカの自然はほんとうに広大ですね。
西海岸の山と東海岸の山とでは、表情もまったく違いますものね。
熊も心配ですが、私はここで誰かに殺されても
しばらく誰にも気づかれないだろうな...と思ってました。^^;

Schatziさん、来月アパラチアンを歩かれるのですねー。
Cold Moutainの世界ですね。そろそろ紅葉もきれいでしょうね。
ロングトレイルは無理ですが、私も久しぶりに歩いてみたいなあ。

グランドキャニオンの谷底へのトレイル、私も憧れなのですが
帰りがのぼり道というのに躊躇してしまいます。

Hot Pursuit、今ちょっと見てみましたが日本での公開はなさそう。
私、相手役のソフィア・ベルガラも好きなんですよね。
久しぶりにリースのコメディ、見てみたいなー。

投稿: ☆ Schatziさま ☆ | 2015年9月18日 (金) 08時27分

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