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蔡國強展:帰去来 @横浜美術館

先月の夏の暑いある日、横浜美術館で開催されている「蔡國強展:帰去来」(さいこっきょうてん:ききょらい / CAI Guo-Qiang: There and Back Again)(~10月18日まで)を見に行ってきました。

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蔡國強(ツァイ・グオチャン/さいこっきょう)さんは中国福建省出身。上海戯劇学院で舞台芸術を学んだあと、日本で創作活動をはじめ、現在はニューヨークを拠点に世界で活躍しています。火薬を使ったアートやパフォーマンスで知られ、2008年北京オリンピックの開会式・閉会式では視覚特効芸術監督を務めました。

本展は、日本では7年ぶりに開催される大規模な個展です。タイトルの「帰去来」(ききょらい)は、中国の詩人 陶淵明(とうえんめい)の代表作、「帰去来辞」(ききょらいのじ)から来ていて、蔡さんの創作の原点である日本に帰るという意味を表しているそうです。

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人生四季:夏 (2015) より部分

最初のギャラリーに展示されていたのは「人生四季」。春、夏、秋、冬、4つの大きな作品で構成されています。江戸時代の春画から着想を得た作品で、男女の姿がそれぞれの四季の自然とともに描かれていますが、輪郭は曖昧にて幻想的で、私はシャガールが描く恋人たちを思い出しました。

色つきの火薬を爆発させて描かれていますが、いったいどうやって?と思いましたら、後でメイキングの映像があって、謎が解けました。大きな型紙に描かれた下絵の通りにボランティアの方たちがはさみでスリットを入れ、火薬を爆発させてステンシルのようにカンヴァスに転写させるのです。

会場となった横浜美術館のエントランスホールで爆発させて作る、という大胆なプロジェクトに驚きましたが、ボランティアの方たちをも巻き込んだ参加型アート?というのが楽しそう。

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春夏秋冬 (2014) より部分

牡丹、蓮、菊、梅、と四季の自然がレリーフで描かれた白い磁器製のパネルの上に火薬を撒き、火をつけて爆発させた作品です。繊細なレリーフが爆発した火薬によってモノクロームに浮かび上がります。

同じギャラリーには、横浜美術大学の学生さんたちと共同して制作したという、テラコッタで作られた「朝顔」という作品が天井からぶらさがっていました。また、別のギャラリーには蔡さんのこれまでの制作活動を、時間を巻き戻しながら紹介するビデオがあり、興味深く見ました。

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壁撞き (2006) より部分

なんといっても圧倒されたのは、大きなギャラリーいっぱいを使って展示されている「壁衝き」(かべつき)という作品です。99体の狼が群れを成して空を飛んで疾走し、ガラスの壁に激突し振り落とされては、またもどって挑みかかろうとしています。

リアルな狼は剥製と思いきや、羊の毛皮や合成素材で作られたレプリカでした。99は道教で永遠の循環を意味する数字だそうです。ガラスの壁は、私たちの周りにある文化や思想などの見えない壁を表しているそうですが、あきらめずに何度も挑戦する狼の姿に勇気を与えられます。

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夜桜 (2015)

エントランスホールに展示された「夜桜」は、「人生四季」と同様、この場所でボランティアの方たちと火薬を爆発させて制作した大型の作品です。モノクロームの桜が墨絵のように浮かび上がり、はかなさと力強さを感じました。

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コメント

セレンさん☆
私もテレビで紹介しているのを見た事があります。
巨大な作品を制作なさるのですよね?
レリーフに火薬も墨のように濃淡ができて、見事ですねぇ。
狼の作品は、是非間近で見てみたいです。
絵画と立体と多彩な方ですね。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2015年9月 9日 (水) 17時08分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
まだ~むさんは、テレビでご覧になったことがあるのですねー。
どれも大掛かりな迫力ある作品でしたが
特に狼には圧倒されました。
触れられませんが、間近で見ることができたので
自分も狼の群れと一体になったような臨場感を味わいました。

火薬って中国4大発明のひとつなのですよね...
そんなところも蔡さんが素材として関心をよせられた理由かもしれません。

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2015年9月10日 (木) 10時02分

「壁衝き」は大迫力ですね。
この人のこと知りませんでしたが
これだけでも観に行く価値がありそうです。
それにしても横浜美術館、葉山でランチと
フットワークが軽いですねえ!

投稿: zooey | 2015年9月11日 (金) 11時35分

☆ zooeyさま ☆
こんにちは。
蔡國強さんの展覧会、ポスターや美術評を見て気になってたので
横浜の実家に行ったついでに見てきました。

「壁衝き」には圧倒されました!
全体的に点数は少なかったですが
たしかにこれだけでも見た甲斐がありました。
リアルな狼ですが、実物より少し大きめに作られているそうで
なおのこと迫力を感じたのかもしれません。

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2015年9月11日 (金) 16時26分

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