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ルーシー・リー展 @千葉市美術館

千葉市美術館で開催された、「没後20年 ルーシー・リー展」(Lucie Rie A Retrospective)(8月30日で終了)を見に行きました。

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20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リー。没後20年となる今年、日本各地を巡回する回顧展が開かれています。初期から晩年までの約200点が展示され、その大半が日本初公開とのこと。8月半ばの暑い一日、ドライヴをかねて出かけてきました。

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ルーシー・リーはオーストリア生まれのユダヤ人。ウィーン工芸美術学校で轆轤(ろくろ)のおもしろさに目覚め、陶芸の道に入ります。そして1938年、ナチス・ドイツがオーストリアを併合したのを機に、イギリスに亡命。ロンドン市内にアトリエ兼自宅となる家を見つけ、ここで生涯、制作を続けました。

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戦時中は作陶が困難になったため、陶器でボタンを作る仕事を始めました。会場ではたくさんのボタンやブローチ、イヤリングを見ることができましたが、デイジーの花やツイストリングなど、センスがあってとってもおしゃれ。器とはまた違う、リーの魅力に触れることができました。

リーの作るボタンは、戦争中のささやかなぜいたくとして、イギリスの高級洋服店に卸されたそうです。日本ではデザイナーの三宅一生さんがリーのボタンのコレクターで知られ、88年ごろに紹介したことで人気が高まりました。

また戦後は、ボタン制作のアシスタントとして雇ったハンス・コパーとともに、テーブルウェアも手がけました。カップ&ソーサー、コーヒーポット、ミルクピッチャーなど、モダンな中にも温かみがある生活の器は、どれもすてきでした。

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(左)線文大鉢(1958頃)  (右)黄釉線文(1968)

リーはこの頃から、独自の手法を確立していきます。「掻き落とし」は、博物館で見た青銅器時代の土器から着想を得たアイディアで、編み針を使って器の表面を引っ掻き、線を彫る手法。さらにその溝に色土を埋め込む「象嵌」という手法も編み出しました。

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白釉青線文鉢 (1979)

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ピンク線文鉢 (1980頃)

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青釉鉢 (1980頃)

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緑釉鉢 (1980頃)

1970年以降の円熟期といわれる頃の作品には、色彩の美しさに魅了されました。この色を出すために、長年にわたって釉薬研究を続けてきたリー。しっとりと落ち着いたダスティピンク、深々と鮮やかなロイヤルブルー...薄手の器にどことなく揺らぎが感じられるのも、手仕事の味わいがあってすてきでした。

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(左)線文円筒花器(1968頃) (右)スパイラル文花器(1980頃)

器のパーツをそれぞれ作り、組み合わせてひとつの作品にする「コンビネーション・ポット」、異なる色の土を組み合わせて轆轤で引き上げ、らせん模様を作る「スパイラル文」も、リーが用いた手法です。

(右)のポツポツと穴の模様が入っているのは「溶岩釉」という手法。初期の頃から取り入れていましたが、時とともに洗練されています。

最後に、イギリスでTV放映されたドキュメンタリーフィルムを見ました。作品が醸し出す雰囲気と同じく、穏やかで凛として美しく、そして少女のようにかわいらしいリーにすっかり魅了されました。リーが愛用していた電気窯も、初めて見たので興味深かったです。

千葉市美術館での展覧会は終了してしまいましたが、今後は姫路、郡山、静岡で順次開催されます。スケジュールはコチラ

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コメント

優れた芸術家の生涯の作品を年代ごとに見ることのできる展示は、
その芸術家の成長(変化?)も同時に感じることができ、
楽しさが倍増ですね。
ブログのお写真だけを拝見していても、年代による違いがわかり
楽しめました。

千葉市までいらしたんですね。
ドライブを兼ねてとのことですが、8月の猛暑のころ、
お疲れ様でした。

投稿: イザワ | 2015年9月 2日 (水) 01時48分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
作品から彼女の生涯、温かい人柄に触れることができて
とても堪能できました。

デザイナーの三宅一生さんがリーのボタンのコレクターで
88年頃に紹介し、日本でも知られる存在になりました。
リーの作品は芸術品というより、身近に置いて使いたくなる魅力があって
そんなところも女性好みかもしれませんね。

帰りはロッテのスタジアムの横を通って
幕張のイオンモールにも寄ってみました。^^
いいドライブになりました。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2015年9月 2日 (水) 11時23分

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