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追悼 山崎豊子展 @日本橋高島屋

招待券をいただいて、日本橋高島屋8階ホールで開催中の「追悼 山崎豊子展 ~不屈の取材、情熱の作家人生~」(~10月5日)を見に行きました。先日三回忌を迎えた山崎豊子さんの作品と生涯の軌跡をたどる追悼展です。

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山崎豊子さんは大阪・船場の商家の生まれ。大学卒業後に毎日新聞社に入社し、当時 文芸部の上司だった作家の井上靖さんの勧めで、仕事のかたわら小説を書き始めました。

生まれ育った大阪を舞台にした「暖簾」「花のれん」にはじまり、戦争三部作の「不毛地帯」「二つの祖国」「大地の子」、社会派大作の「白い巨塔」「沈まぬ太陽」など、どの作品をとっても代表作といえるほど、多くの人たちに愛読されています。

本展は、原稿や取材ノート、書簡、さらには初公開となる日記などが展示されています。ほぼ全作品を読んでいるファンとしては垂涎ものの見応えのある内容で、作品を思い出しながらわくわくと引き込まれました。

原稿やノートはすべて手書きで、登場人物の関係図や、年齢やできごとを記した年表、そばにはメモや計算なども書き込まれています。達筆の文字は正直読みにくいと感じることもあり、編集者さんはたいへんだなーと余計な心配をしました。

インタビューを収録したカセットテープは、スタッフが文字起こしをするのでしょうか。全部聞くだけでもたいへんな作業となりそうです。書簡では、豊子さんが「花のれん」で直木賞を受賞した時の、師 井上靖さんからの”橋は焼かれた”という激励のメッセージが心に残りました。

また、山崎作品はほとんどが映像化されているので、映画化、ドラマ化作品についてもパネルや映像で紹介されていました。渡辺謙さんの「沈まぬ太陽」など、私が見ているものもいくつかありましたが、古い映画はキャスティングを見るだけでも、へ~、なるほど~と楽しめました。

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綿密で膨大な取材をもとに、何年もかけて壮大な物語を紡ぎあげた山崎豊子さん。全作品の取材で訪れた国は17ヵ国、取材した人は約5300人、カセットテープは5500本、ノートは980冊に及ぶそうです。

取材先には、冷戦下のソ連や、秘密主義の中国、環境の厳しい中東やアフリカもありますから、その苦労は計り知れないものがあります。地図を見ながら、あの作品のあの場面、と記憶の糸を手繰り寄せました。

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最後のコーナーでは、豊子さんの書斎が再現され、洋服やバッグ、帽子などの愛用品が公開されていました。原色の大柄のファッションが多いのが豊子さんスタイルでしょうか。

戦争中に大学に入学し、学ぶ機会を奪われたと悔しがる豊子さん。「大地の子」の取材をきっかけに、財団を作って中国戦争孤児のお孫さんたちの奨学支援活動をされているとうかがい、その志に心打たれました。

日本橋のあとは、横浜、京都、大阪の高島屋に巡回するそうです。
(会場の画像は、産経ニュースよりお借りしました。)

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コメント

骨太の人でしたね。
もう三回忌になるのですか…
「不毛地帯」「二つの祖国」「大地の子」「白い巨塔」「沈まぬ太陽」
どれも読みました。
しかし、知識欲旺盛で元気な若い頃だったから読めたけど
楽な物しか読まなくなった今となってはどうだか…
読むにも体力が要るのだと感じる今日この頃です。

投稿: zooey | 2015年10月 2日 (金) 12時37分

☆ zooeyさま ☆
こんばんは。
はげ山に一本一本木を植えるように小説を書きたい
とおっしゃっていた豊子さん...書くことへの情熱に圧倒されます。

展示を見ていたら、細かいところを忘れていたりして
もう一度読んでみたくなりましたが
私も最近、何分冊にもなる長編は
だんだん読むのがきつくなってきました。^^;

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2015年10月 2日 (金) 22時52分

取材のボリュームが半端ではないですね!
小説とはいっても取材に基づいた根拠のある
内容と主人公を通して表現する考え方が、多くの読者を
引きつけたのだと思います。
いつまでも色あせない作品はこれからも、多くのファンを
獲得し続けることと感じます。

投稿: イザワ | 2015年10月 3日 (土) 03時23分

☆ イザワさま ☆
こんばんは。
このボリュームに圧倒されますね。
綿密な取材から得られた事実をもとに物語を構築されているので、
リアリティのあるエキサイティングな小説が生まれたのでしょうね。
権力に臆することなく切り込んでいく姿勢にも
多くの読者たちが共感を得たのでは、と思います。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2015年10月 4日 (日) 01時09分

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