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杉原千畝 スギハラチウネ

唐沢寿明さん主演の歴史ドラマ、「杉原千畝 スギハラチウネ」を見ました。第2次世界大戦時、リトアニア領事として6000人のユダヤ難民にビザを発給して命を救い、日本のシンドラーとよばれた杉原千畝の半生を描きます。
memo 杉原千畝 スギハラチウネ 公式HP

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1934年。満州国外交部に勤務する杉原千畝(唐沢寿明)は、ソ連との北満州鉄道譲渡の交渉を有利に成立させるも、ソ連から入国拒否を言い渡され、リトアニア・カナウスの日本領事館への赴任を命じられます。1939年、家族を伴い着任した杉原は、ヨーロッパでの諜報活動に努め、日本に発信し続けます。

やがてナチスドイツがポーランドに侵攻し、第2次世界大戦が勃発。ナチスの迫害を逃れて通過ビザを求めるユダヤ難民が連日カナウスの日本領事館に大挙する中、杉原は日本政府の了承なしに、独断で通過ビザを発給することを決意します...。

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先月、久しぶりに邦画を見に行きました。

杉原千畝さんがクローズアップされるようになったのは、かれこれ20年ほど前でしょうか。杉原さんが命のビザを発給し、何千人ものユダヤ人を救った、ということは知っていましたが、彼がインテリジェント・オフィサー(諜報外交官)という顔を持っていたことを、この映画を見て初めて知りました。

映画は、ユダヤ人を救ったことだけでなく、諜報活動もふくめて、”杉原千畝”という人物を浮かび上がらせているので、スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」と比べると、だいぶあっさりとした印象がありますが、イントロダクションとしてはよくまとまっていて、興味深く見れました。

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序盤にスパイ映画さながらのアクションシーンがありましたが、5ヵ国語を使いこなし、情報収集力に長けていた杉原氏は、優秀な諜報外交官で、ソ連からも恐れられる存在だったそうです。

ドイツが不可侵条約を破ってソ連に侵攻することをいち早く見抜き、上層部に進言するも受け入れられず、日本はドイツと同盟を組み、第2次世界大戦に参戦します。その頃、リトアニアの日本領事館の前には、ナチスの迫害を逃れ、日本の通過ビザを求めて、ユダヤ人が大挙していました。

どうして日本の通過ビザが必要なのか?と思ったら、彼らはまずソ連を鉄道で横断し、ウラジオストックから船で日本に渡り、そこから最終目的地となる国々へと亡命するというのでした。戦中の日本で、多くのユダヤ人を一時的に受け入れたということを初めて知り、驚きました。

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人道的な使命感に突き動かされ、ナチスの手が届くまで一刻の猶予なく、ユダヤ人たちにビザを発給し続けた杉原氏。書類を書く時間も惜しみ、途中からはハンコを作って、領事館のスタッフ総動員で対応したのでした。

杉原氏が日本の切手をあげてかわいがっていたユダヤ人の男の子は、逃げ遅れ強制収容所に入れられてしまいますが、戦争が終わって、日系アメリカ兵に助けられるという展開に、運命の不思議を思いました。この少年は映画用の役柄ではなく、実在する人物と知ってさらに驚きました。

また命からがらウラジオストックに着いたユダヤ人たちを、日本行きの船に乗せることを決断する、総領事代理の根井三郎さんの男気にも感動しました。彼は杉原氏とハルビン学院でともにロシア語を学んだ同窓生で、杉原氏の発行したビザを見て全てを理解したのだと思いました。

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唐沢寿明さんというと「白い巨塔」の財前教授が印象に残っていますが、ただの善人ではなく、状況を見てベストの決断ができる強さをもった杉原千畝を魅力的に演じていました。杉原千畝については関連書籍もたくさん出ているので、追って読んでいきたいと思います。

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映画」カテゴリの記事

コメント

セレンさん☆
スギハラチウネ、一度聴いたら忘れない名前ですよね~
すごく気になりながら見逃してしまいました。
役柄としては唐沢さんにぴったりなかんじがします。
多分ゆっくり見られるのはDVDになってからかなぁ。楽しみに取っておきます♪

投稿: ノルウェーまだ~む | 2016年1月 9日 (土) 00時04分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
杉原千畝さんが話題になった頃、ちょうど海外にいたので
ブームに乗り遅れてしまったのですよね...
この作品は少々薄味ながら、イントロダクションとして
よくまとまっていたと思います。
学校の教材にもよさそう...^^
機会があったらご覧になってみてください☆

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2016年1月 9日 (土) 09時37分

あの男の子が実在の人物とは知りませんでした。
あの家族、千畝の忠告を受けながらすぐに逃げなかったので
あんなことになっちゃったんですよね。
アウシュビッツを最初に開放したのが
日系アメリカ兵だったということは知ってましたが…
しかし、学校の教材にするには
少々長すぎて複雑でしたね。

投稿: zooey | 2016年1月 9日 (土) 20時29分

杉原千畝さんの話は、何年か前にTVドラマだったか、
何かで見たのを覚えています。
時間がなくて、ビザの発給のためにハンコを作って
発給し続けたシーンは良く覚えています。
勇気と決断と信念。。。
今後の世界情勢を考えると、形は違ってもその辺りは
日本にも必要なことのような気がします。

投稿: イザワ | 2016年1月10日 (日) 01時49分

☆ zooeyさま ☆
あの男の子が書いた手記が出ているようです。
ソリー・ガノール著「日本人に救われたユダヤ人の手記」
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AB%E6%95%91%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%83%A6%E3%83%80%E3%83%A4%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%89%8B%E8%A8%98-%E3%82%BD%E3%83%AA%E3%83%BC-%E3%82%AC%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4062089246
残念ながら絶版のようですが...
あの時代にこうした勇気ある日本人がいたというのは誇らしいですね。

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2016年1月10日 (日) 08時34分

☆ イザワさま ☆
ハンコを作ってビザを発給したというのは有名なエピソードなのですね。
あの時代に外務省に背いて信念のもとに正しいことをする
というのはなんという勇気ある行いだったでしょう。
それを支えたご家族もすばらしいと思います。
今の時代に(私も含め)それだけの気骨を備えた日本人がどれだけいるか
考えさせられますが、襟を正す思いがしますね。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2016年1月10日 (日) 08時47分

私が杉原氏のことを知ったのは、90年代であったと思います。日本政府にとっては、封印すべき人物として扱われていたからです。彼は確かに外務省という組織を乱した人物でした。しかし、日本の国益という視点からしたら、むしろ英雄であり、叙勲の対象であって当然の人物です。
それでも外務省は国益よりも、組織の維持を優先し、官僚的判断で彼を退職に追いやり、記録から抹消したのです。
彼の名誉が回復されたのは、死後でありますが、未だに外務省は過去の判断に誤りなしと強弁しているのです。このことこそ、絶対に忘れてはいけないことだと考えております。

投稿: ヌマンタ | 2016年1月10日 (日) 12時27分

これは、私も観たいと思っていて見逃してしまった作品です。
戦争の時代の歴史って、授業では時間がなくて(明治時代以前の歴史に時間を使いすぎて?)あまり取り上げられないのですよね。
近代史こそ知っておかなくちゃいけないと思うのに、中学、高校の授業では駆け足で終わってしまって、何も理解していないというありさまでした。
自分の知らない事ばかりで無知って怖いと思います。
なのでこれはDVDで観たいです。

投稿: ruri | 2016年1月11日 (月) 11時05分

☆ ヌマンタさま ☆
映画は冒頭、杉原千畝さんに助けられたユダヤ人が
戦後、外務省を訪れるも、そんな人物はいないと追い返される
という場面から始まります。
これほどの人道的な行いにも、組織に背いたとして存在を抹消され、
戦争中は命がけで送った情報ももみ消され...
外務省はいったいどうなっているんだ、と思いますね。
イスラエルやリトアニアなどが声をあげ
外務省が謝罪し、ようやく杉原氏の名誉を回復したのは2000年のこと...
杉原氏が残した魂の炎は消えることはないでしょうが
私たちもこのことを忘れてはなりませんね。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2016年1月11日 (月) 13時43分

☆ ruriさま ☆
こんにちは。
昨年は戦後70年という節目の年だったこともあって
国内外を問わず、第2次世界大戦を舞台にした映画が
多かったように思います。
「イミテーション・ゲーム」や「ミケランジェロ・プロジェクト」なども
史実として興味深いものでした。
次々と明らかになる戦争中のエピソードに驚かされますが
そうしたことをわかりやすく知ることができるのも映画の魅力ですね。

投稿: ☆ ruriさま ☆ | 2016年1月11日 (月) 13時53分

セレンディピティさま
「外務省は一体どうなっているんだ」
私も、それを感じました。私の中東での経験では協力隊員が生活の中で肌で感じたことを、大使にしゃべっても全く意に介さず、彼等はのほほんとしてただ本国の方ばかり向いており、保身しか興味がない。千畝の能力や体を張った諜報活動を見ると、彼は特別優れているのではと思います。

投稿: Bianca | 2016年1月12日 (火) 21時46分

☆ Biancaさま ☆
こんにちは。
今でこそ、関連書籍や映像作品もいろいろ出ていて
杉原氏の尊い行いを知ることができますが
長年歴史から封印されていたのですものね...
今でもその体質は変わっていないのだろうな、と勘繰ってしまいます。

ところでBiancaさんは中東にいらしたことがあるのですね。
本国の方ばかり向いて...という方は、大使館職員に限らず
多くいらっしゃる気がします。
杉原氏のようなグローバルなものの見方ができ、さらに人格がすぐれて
という方はなかなかいらっしゃらないでしょうが
こういう方こそ今の日本には必要ですね。

投稿: ☆ Biancaさま ☆ | 2016年1月13日 (水) 12時12分

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