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ブリッジ・オブ・スパイ

スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演、コーエン兄弟脚本の、米ソ冷戦時代を舞台にした実話に基づく歴史ドラマ、「ブリッジ・オブ・スパイ」(Bridge of Spies)を見ました。
libra ブリッジ・オブ・スパイ 公式HP

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1957年、米ソ冷戦下のニューヨーク。ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)という男がソ連のスパイとして逮捕され、保険が専門の弁護士ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)が弁護を引き受けることに。ドノヴァンは全国民から非難を浴びますが、弁護士としての信念を貫き、アベルは死刑を免れます。

そして1960年。ソ連を偵察飛行中の米U‐2機が撃墜され、米軍パイロットのフランシス・ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)が捕えられます。米ソ両国はアベルとパワーズの交換を画策し、交渉役に任命されたドノヴァンは、東西の緊張高まるベルリンへと飛びますが...。

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スピルバーグ×トム・ハンクス×コーエン兄弟という強力タッグに楽しみにしていましたが、期待通りにおもしろかった! こういう作品、大好きです。ドラマは粛々と展開しますが、手に汗握り、引き込まれました。シリアスな題材ながら、スピルバーグ監督らしい温かさとユーモアが随所で感じられるところもよかった。

アベルは憎き敵国のスパイであり、もともとドノヴァンは形だけ弁護士として指名されたにすぎません。裁判が始まる前から、アベルの死刑はほぼ確実だったのです。しかしドノヴァンは、憲法に照らして、米国があるべき姿を世界に示すことが、国家を守る最大の武器になると主張し、アベルの命を救うのでした。

そしてドノヴァンのこの主張は、裁判を有利に戦うためのこの場限りの理想論ではなく、実際に5年後、国家の信用を示し、国民を救うための最強の切り札として、外交の舞台で役立つこととなるのです。

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後半のスパイ交換交渉は、結果がわかっていてもはらはらしました。ソ連で捕まった米軍パイロットに加えて、東ドイツで誤って捕らえられたアメリカ人留学生まで現れ、アメリカ、ソ連、東ドイツのそれぞれの思惑と利害と面子が交錯する、なんとも難しい交渉となるのです。

交渉の舞台は、今まさに壁が築かれ、東西に分断されたばかりのベルリン。壁を越えようとすれば容赦なく撃ち殺される、殺伐としたその様子を見ただけで、恐怖と緊張に身がすくみます。

しかし、自分の命の保証さえわからないようなこの厳しい場面でも、ドノヴァンは、囚われたアベル、パワーズ、留学生の3人の命の重さに優先度をつけることなく、全員がしかるべき場所にもどれるよう、一歩も引かない粘り強い交渉を続けるのでした。

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アベルのその後が心配でしかたがなかったので、ラストの後日譚には心底ほっとしました。ドノヴァンはこのあと、キューバとの交渉でも手腕を発揮し、人質事件を解決しているそうで、冷戦時代、米ソ両国の均衡が彼によって守られていたといっても過言ではないかもしれません。

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コメント

こんばんは!cherry

私も必ず見に行くつもりですが、記事を読ませていただきながら、東京裁判で日本のA級戦犯の弁護にあたった弁護士さんの事を思い起こしました。

日本人に対して、法治国家として、民主主義国家としての、ありかたを見せるために演出されていた可能性も否定は出来ないですが、「戦争は個人の犯罪ではなく、国が負うべきものである。真珠湾攻撃が犯罪行為だと言うならば、原爆投下も犯罪ではないか」って反証したんですよね。

ドキュメンタリーを見ていて、やっぱり心を打たれました。

私も、早く見ますね~~!スピルバーグ/トム・ハンクスのコンビは「ターミナル」以来ですね。happy02

投稿: ごみつ | 2016年1月25日 (月) 21時08分

セレンさん☆
やっぱり楽しまれましたね。
この手のはきっとお好きだと思ってました。
それに引き換え、SWでも寝るけど、これでも眠くなっちゃう私はいったい~~

投稿: ノルウェーまだ~む | 2016年1月26日 (火) 00時05分

☆ ごみつさま ☆
おはようございます。
東京裁判のブレイクニー弁護士ですね。
山崎豊子さんの「二つの祖国」で読んだような...
私は映画を見ながら「アラバマ物語」の
フィンチ弁護士を思い出していました。^^

世論や、自分の感情に惑わされることなく
公正さを貫き通せるのはすごい勇気だと思います。
ドノヴァンの場合、自国にも利があるように
ちゃんと根回しする賢さも持った人なんですよね...

トム・ハンクス、やっぱりいいですね~
どうぞお楽しみに☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2016年1月26日 (火) 08時45分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
おはようございます。
私好みの作品でした☆
真摯に作られた作品ですが
意外とエンタメ要素?もあって楽しめました。^^

まだ~むさんはきっとお疲れがたまっていらっしゃるんだと思いますよ。
私はどうもSWのような作品に眠くなってしまって...><
なかなか言い出せなかったので、お仲間がいてうれしいです。^^

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2016年1月26日 (火) 08時53分

この映画、実際のU2墜落事件をもとにしているようですけど、全ては描いてないようです。アメリカの情報部であるCIAは、ドイツ出身者がその設立時から絡んでいます。そのため、東ドイツ情報部は、CIAを疎んでいたらしいですね。そのために、民間人を登用したらしいです。

投稿: ヌマンタ | 2016年1月26日 (火) 17時23分

☆ ヌマンタさま ☆
こんにちは。
CIAが表立って動けない事情があったのですね。
それにしても、民間人でありながら
国の運命を背負って大役を引き受けたドノヴァンの
勇気に感服します。愛国心ももちろんあるでしょうが
映画を見ると、人道的にも自分が引き受けなくては
という思いがあったのかもしれませんね。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2016年1月27日 (水) 10時33分

こんばんは。
この作品とても良かったです。スピルバーグ映画は見応えあります。
少々お年ながらトム・ハンクスも弁護士役似合っていました。
留学生も救うことに固執したドノヴァンの姿に感動です。
アベル役のマーク・ライランスは正に適役でしたね。

投稿: margot2005 | 2016年2月 3日 (水) 22時03分

☆ margot2005さま ☆
こんにちは。
こういう作品、好きです。
シリアスな題材を真摯に描きながらも
スピルバーグ監督らしい愛とユーモアのある作品でしたね。
トム・ハンクス、あんなに小さなお子さんがいるようには見えませんが^^
誠実なドノヴァンはまさに適役でしたね。

マーク・ライアンスは、冒頭のなんでもない日常生活の場面から
一気に引きこまれました。
ドノヴァンと同じく不屈のアベルを好演していましたね。

投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2016年2月 4日 (木) 10時12分

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