オデッセイ
リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演のSF映画、「オデッセイ」(The Martian)を見ました。アンディ・ウィアーのベストセラーウェブ小説、「火星の人」を映画化。 オデッセイ 公式HP
火星での有人探査中、突然の嵐に吹き飛ばされ、アンテナが刺さったまま行方不明となったワトニー(マット・デイモン)。タイムリミットが迫る中、ルイス船長(ジェシカ・チャステイン)は捜索の中止をやむなく決断、クルーとともに地球に帰ってしまいます。しかしワトニーは、奇跡的に一命を取り留めていました。
ひとり火星に残されたワトニーは、自らケガの治療をし、生き延びるために酸素、水、食料を確保する方法を画策し、旧式の通信手段でNASAとの交信を試みます。やがてワトニーの生存に気づいたNASAは、彼を救出すべく、あらゆる方法を検討しますが...。
公開前は途中で眠くなるタイプの映画かも...と警戒していたのですが、どうやらコメディらしい??と知って楽しみにしていました。SFのファンタジーな展開は苦手ですが、これは火星を舞台に科学の力を駆使したサバイバル映画で、私はとっても楽しめました。
ひとり火星に取り残されたワトニーですが、嘆き悲しむことなく、冷静に自分が置かれた状況を分析し、生き残るために必要な問題をひとつひとつクリアしていきます。人間、追い詰められると眠っていた記憶が呼び起こされることがありますが、それにしても化学反応で水や酸素まで作り出してしまうのだからすごい。
散りばめられた理系ネタにわくわくしましたが、数学専攻としては地味ながら16進法のアスキーコードを使ってNASAにメッセージを送る場面に思わずにやり。あと、懐かしかったのがマーズ・パスファインダー!当時アメリカにいて、連日の報道にわくわくしていた頃の興奮を思い出しました。
残されていたじゃがいもから畑を作ってしまうという発想にびっくりですが、栽培が簡単でエネルギー価が高いので、意外とリアリティがありそうです。将来、火星への有人探査が実現したら、いざという時のために野菜や穀物の種を持っていく、なんてことになるかもしれません。
ワトニーの生き残りにかける情熱もすばらしいですが、それを支えたのは、なんとしてでも彼を救出しようと奮闘する地球にいるスタッフたちや、予定を変更して命がけで彼を助けることを決意する探査機のメンバーたち。
それぞれの過程で成功する確率が1%だったとしても、最終的にうまくいくのは0.00...1%と可能性は限りなくゼロに近づきますが、実際、過去にアポロ13のような例もありますから、決して不可能ではないはず。
中国が国家機密を投げ打ってまで貢献するという強引な展開には少々しらけましたが、アメリカ映画らしい前向きで、元気をもらえる作品でした。
全編を彩る70年代のディスコサウンドが楽しかった。特にDonna Summerの"Hot Stuff"やGoria Gaynorの"I Will Survive"はリアルタイムで聴いていたので懐かしかったです。ルイス船長のお気に入りということですが、実際より年上という設定でしょうか。姉御肌の彼女のキャラクターに不思議とマッチしていました。
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コメント
こんばんは!
私も「オデッセイ」昨日、見てきました!
考えてみたら、物凄く深刻な事態なのに、とてもライトタッチでコミカルに描かれていて、面白かったですよね。
使われてる曲も良かったです。私は、D・ボウイの「スターマン」が一番気に入りました。
ほぼ一人芝居メインのマット・ディモンの魅力ももちろんですが、船長役のジェシカ・チャスティンもさすがの存在感でした。
火星を舞台にした映画はけっこうありますけど、こんなに明るくて楽しい映画ははじめてです。
投稿: ごみつ | 2016年2月24日 (水) 23時16分
明るく楽しい宇宙の遭難物語と言ったところでしょうか。
先日、2009年公開のザ・ムーンを観ました。
アポロ計画の宇宙飛行士たちが当時の飛行について実際に語る映画ですが、
それぞれの飛行士たちの月に対する思いが熱く伝わってきました。
太陽系の中で地球に最も近い惑星である火星は、月の次に人類が
降り立つ可能性のある星だと思います。
今後が楽しみですね。
投稿: イザワ | 2016年2月25日 (木) 00時22分
☆ ごみつさま ☆
おはようございます。
ごみつさんもご覧になったのですね!
私は先々週に見てきました。
困難な状況を解決していく過程に、パズルをはめ込むような
おもしろさがあって、私もとっても楽しめました。
ワトニーに悲壮感がないのがよかったですね。
使われている音楽もミスマッチのようで意外と考えられていて
スターマンもよかったですね。
ジェシカ・チャステインの船長も男気?があってかっこよかった!
火星がこれほど身近に感じられる作品は初めてで、新鮮でした。
投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2016年2月25日 (木) 07時55分
☆ イザワさま ☆
おはようございます。
この映画、原作はアンディ・ウィアーというエンジニアの方が
Kindleで自費出版した小説で、おもしろくて話題になり
いつの間にかベストセラーになってしまった
という経緯があるそうです。
困難を解決する過程に、なるほどそう来たか!
というおもしろさがあって、楽しめました。
火星が身近に感じられ、わくわくする作品でした。
ザ・ムーンもおもしろそうですね。
ドキュメンタリーが好きなので、是非見てみたいです。
投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2016年2月25日 (木) 08時23分
セレンディピティ様
私も少し前に見ました。昔の自然農法を採用している個所でにやり。私の子供のころは一般的でしたからね!!
ところで貴女は数学専攻だったのですね。もっと早くおっしゃいませ。
同級の女性にもそういう人が居ましたし、ただ理系と聞くよりも親しみがわいてきます。
投稿: Bianca | 2016年2月25日 (木) 22時49分
☆ Biancaさま ☆
おはようございます。
Biancaさんもご覧になりましたか!
おもしろかったですね☆
自然農法といい、すべてを無駄なく有効利用していて
究極のエコ生活でしたね。
本来こうあるべきかも...と考えさせられます。
そうそう、私は数学専攻なのですよ。
私の世代ではまだまだ少数派でしたが
Biancaさんのお友達にそういう先輩がいらしたとは心強いです。^^
投稿: ☆ Biancaさま ☆ | 2016年2月26日 (金) 09時01分
セレンさん☆
とーっても面白かったですね!
私もSFはとかく眠くなりがちなのですが、それもこれも難しすぎて何を言ってるのか判らないからなのですけど、数学専攻のセレンさんでも眠くなるならしょうがないですね(笑)
私なんてアスキーコードがどーのこーのも何なのか全く理解できず…(汗)
でも、そこはマット・デイモン演じるワトニーのポジティブさと軽快な音楽で楽しく観れましたね~~
投稿: ノルウェーまだ~む | 2016年2月26日 (金) 16時43分
☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
おもしろかったですね!
SFは宇宙の映像が心地よくて眠くなってしまうのと
あと、ファンタジーな展開が苦手なのです。
でもこの作品は、火星を舞台にはしていますが
リアルな展開で楽しめました。
ワトニーの奮闘ぶりにわくわくしましたし
70年代のディスコミュージックが、不思議とマッチしていましたね☆
投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2016年2月26日 (金) 17時53分
こんばんは。
この映画は多々ある宇宙ものの中でダントツで良かったですね。コメディっぽい要素も挿まれて面白かったです。
ワトニーが趣味悪いと称した船長の選曲がディスコ・サウンドと言うのもナイスでした。
でもあのサウンドで元気をもらえたのかも?
投稿: margot2005 | 2016年3月 4日 (金) 21時55分
☆ margot2005さま ☆
こんばんは。
今までにないタイプのSF映画でしたね。
火星が身近に感じられ、私もわくわくと楽しめました。
音楽もSFには珍しい選曲でしたが
不思議とワトニーがおかれた状況にマッチしていましたね。
ルイス船長のお気に入り...という設定も妙におかしかったです。^^
投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2016年3月 6日 (日) 00時46分
こんにちは。
「16進法のアスキーコード」…???
サンドイッチマン(コメディアン)の富沢のように「ちょっと何言ってるかわからない」と呟いてしまうのですが、
数学ご専攻だとそんな部分にクスリとできるのですね…
羨ましい限りです。
ところで、
>中国が国家機密を投げ打ってまで貢献するという強引な展開には少々しらけましたが
には同意です。中国はきっとこんな未来には、ナショナリズムを超えたそんな国になったのね、と、鑑賞当時は思っていましたが、…んなわけないですよねぇ。
投稿: ここなつ | 2016年4月13日 (水) 19時04分
☆ ここなつさま ☆
おはようございます。
この作品、原作がエンジニアの方によるウェブ小説とあって
理系ネタや理系あるあるネタが楽しかったです。
ガリレオやコナンのようでもあり
子どももこういう話って大好きですよね。
高度経済成長期、日本がエコノミックアニマルとして
何かと悪く描かれていたことを思うと、
中国が困った国を助けるヒーローとして描かれていたのが
なんとも複雑な思いでした。
投稿: ☆ ここなつさま ☆ | 2016年4月14日 (木) 08時57分