« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »

2016年3月

カラヴァッジョ展 @国立西洋美術館

上野の国立西洋美術館で開催されている、「カラヴァッジョ展」(~6月12日まで)を見に行きました。
art カラヴァッジョ展 公式サイト

Caravaggio_11

イタリア・バロック期を代表する巨匠、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610)。通称カラヴァッジョ。本展は、日伊国交樹立150周年を記念しての企画展で、カラヴァッジョと、その継承者たちの作品約50点を紹介しています。

カラヴァッジョの作品は、移動不可能な作品を含め、わずか60余点しか現存しないそうですが、今回はそのうち過去最多の11点が来日しています。これだけまとまった数の作品が一堂に会する機会は世界でも稀なことで、貴重な作品の数々を堪能しました。

カラヴァッジョの作品の魅力は、一言でいえば”禁断の魔力”でしょうか...。ユニークな風俗画、妖艶な美少年、グロテスクな斬首...聖書や神話を描いた作品も人間ドラマのようなリアリティがあり、その生々しさにドキッとさせられました。

それでも見る者の心を惹きつけてやまないのは、誰の心にもあるタブーを覗き見てみたい気持ち、悪への好奇心を刺激しているからかもしれません。発表された当初は、きっと問題作として注目をさらったのではないかしら?と想像しました。

彼は弟子をとらなかったそうですが、「カラヴァジェスキ」とよばれる熱狂的な支持者たち、継承者たちが現れたというのも納得です。また、光と影をみごとに生かした画法は、のちにルーベンス、ラ・トゥール、レンブラントなど、17世紀の画家たちにも影響を与えたとされています。

作品以外では、カラヴァッジョの素行の悪さを裏づける、警察の調書が何点も展示されていておもしろかったです。^^ 何度も暴力沙汰を起こして逮捕され、殺人まで犯しました。逃亡中に熱病にかかり、38歳で短い生涯を閉じるという、波乱万丈の人生を送りました。

Caravaggio_19

女占い師 (1597)
占い師が手相を見るふりをして指輪を抜き取ろうとしています。題材が斬新で、当時の人々には衝撃だったそうです。左の女性はミア・ワシコウスカに似ているような?? まるで映画のワンシーンのようです。

Caravaggio_13 Caravaggio_14

(左) トカゲに噛まれる少年 (1596-97)
一瞬の驚きと恐怖が伝わってきます。モデルはカラヴァッジョ自身だそうです。

(右) ナルキッソス (1599)
自分の姿に恋して溺れる、ギリシャ神話を描いた作品です。暗闇にスポットライトが当たり、まるで舞台演劇を見ているようです。

Caravaggio_20

果物籠を持つ少年 (1593-94)
手前の果物籠にフォーカスを合わせ、背景の少年をややぼかして描いています。今の一眼レフカメラで撮るようなテクニックを、この時代に取り入れていたことに驚きます。

Caravaggio_18

エマオの晩餐 (1606)
私が最も心を動かされた作品です。殺人を犯したカラヴァッジョが、ローマからの逃亡中に描いた作品で、弟子の前に現れた復活したイエスを、静かに、ドラマティックに表現しています。

私はふと、三浦綾子さんの小説「ひつじが丘」のラストを思い出したのですが、これは数々の悪行を重ねてきたカラヴァッジョが、人生の最期に神に赦しを求めて描いた作品なのではないかな?と想像しました。

| | コメント (10) | トラックバック (1)

イースターのキャロットケーキと、コストコ

昨日の日曜日はイースターでした。毎年この時期に作っているキャロットケーキです。レシピはスウェーデンのお菓子の本から。
chick モーロットスカーカ(キャロットケーキ) レシピ

2016032701

すりおろしたにんじんと、刻んだくるみがたっぷり入る、スパイスの香り豊かなケーキです。バターではなくグレープシードオイルを使っているのでふんわり軽い口当たり。上から粉砂糖をふるい、バナナのスライスを飾って仕上げました。

          chick          chick          chick

ところで...日本では大掃除といえば年末ですが、アメリカではイースターの前が大掃除のシーズンでした。この時期になるとパステルカラーの広告とともに、洗剤やお掃除用品がお店に並んでいたことを思い出します。

家の回りをきれいにしてイースターを迎える、というのは日本の年末と同じですが、ちょうど水ぬるむ時期でもあり、理にかなっていますね。だから、というわけではないですが、ちょうど掃除用のワイプがなくなるところだったので、先々週、コストコに買い物に行ってきました。

2016032702

手前のワイプは、日本のクイックルのような使い捨ての水拭きシート。水回りから床、棚、いたるところにささっと使えるのが便利で、長年愛用しています。昨年、容器がコンパクトになって、ますます使いやすくなりました。

右奥はアメリカでポピュラーな、ARM & HAMMER のベイキング・ソーダ(重曹)。これも掃除や洗濯に大活躍のすぐれもので、20年前にアメリカで初めて教わった時には感動しました。6.12kg入りの大袋ですが、気兼ねなく使えるのがうれしいです。

この日は他にもいろいろ買いましたが、その中から2点ご紹介しますね。

2016032703_2

ラグジュアリーミニクロワッサン 15個入り。昨年末に発売された新商品です。クロワッサンはバターがたっぷり入っているので、ふだんはめったに買わないのですが、このミニミニサイズに、つい心が動きました。

2016032704

この日の朝食はイースター風に。クロワッサンは軽く温めて横に切れ込みを入れ、マヨネーズ&粒マスタードをぬって、ハム、レタス、カイワレをはさみました。鳥の巣に見立てた刻みキャベツにスクランブルドエッグ。プチトマト、いちごのヨーグルトがけ、コーヒーとともに。

小さめサイズのクロワッサンがおなかに重すぎず、おいしくいただきました。生地が少し甘めなので、軽く温めてジャムを添えてもおいしい。残ったクロワッサンはひとつひとつラップにくるみ、さらにまとめてZIPLOCKに入れて冷凍し、少しずつ楽しんでいます。

2016032705_2

チアシード、ゴジベリー(クコの実)、ゴールデンベリーの3種類のスーパーフードをチョコレートコーティング。試食販売していて、おいしかったので買ってみました。
bud スーパーフードとは (日本スーパーフード協会サイト)

2016032706

健康と美容にいいと言われているスーパーフード。効果のほどはともかくとして、おやつに時々つまんでいます。チアシードはものすごく細かいですが、一粒一粒きれいにチョコレートコーティングされていて感動しました。

2016032707

久しぶりにデッキブラシを使って掃除してさっぱり。お花は、2月から元気に咲き続けているマーガレットと、パッとサイネリア~♪ 鮮やかなフューシャピンクに気持ちが華やぎます。ソメイヨシノも咲きはじめ、いよいよ春本番ですね。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章

ジュディ・デンチはじめ、イギリスの名優たちが共演するインドを舞台にしたコメディテイストのドラマ、「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」(The Second Best Exotic Marigold Hotel)を見ました。
bell マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章 公式サイト

The_second_best_exotic_marigold_hot

イギリスから新天地を求めて、インドのリゾートホテルに移り住んだシニアたちの人間模様を描いた「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」の続編。今回は前作からのおなじみのメンバーにハリウッドからリチャード・ギアが新たに加わり、さらにパワーアップしています。

この作品の魅力は、イギリスの名優たちが奏でるみごとなアンサンブルと、若々しく輝いているシニアたち...ということももちろんあるのですが、私は今回それに加えてイギリス映画ならではの奥ゆかしさにぐぐっと心をつかまれました。

The_second_best_exotic_marigold_h_2

シニアたちの恋模様を描きながらも、その表現はあくまでさりげなく控えめで、まるでイギリスの上質な古典恋愛小説みたい。映画を見ながら、「眺めのいい部屋」や「プライドと偏見」で味わった、どきどきした気持ちを思い出しました。

たとえば、ファッションセンスを見込まれて、インドでのテキスタイルのバイヤーにスカウトされるイヴリン(ジュディ・デンチ)と、インド人の少年に助けられながら観光ガイドとして悪戦苦闘するダグラス(ビル・ナイ)。

良識ある二人が、互いに惹かれあいながらも、その気持ちにとまどい、理性によって抑えようとする姿がいとおしく、やきもきしながら見守っていました。特に、不器用なビル・ナイがとてもかわいかった。^^

それから、2人のインド人富豪に求婚され、てんびんにかけていたマッジ(セリア・イムリー)が、いつしか、いつも彼女を送り迎えしてくれていた誠実な運転手の男性に惹かれていくエピソードもロマンティックで好きです。

The_second_best_exotic_marigold_hot

マリーゴールド・ホテルの若き支配人ソニー(デヴ・パテル)の、情熱ゆえのドタバタぶりにはかなりイライラさせられましたが^^ いいスパイスになっていたかな? ラストはボリウッド風にのりのりの歌と踊りで、華やかなインドの結婚式を満喫しました。

The_second_best_exotic_marigold_h_3

冒頭、ミュリエル(マギー・スミス)がアメリカの出張先でティーバッグの紅茶に物申す場面には(私もアメリカの紅茶への無頓着さには同じように不満に思っていたので)溜飲が下がりましたが、最後は元気がなくて心配になりました。まだまだ半人前のソニーを支えてあげて欲しいですが...。

| | コメント (4) | トラックバック (4)

麻布食堂と、新しい食器

映画を見た後に、西麻布にある洋食屋さん、麻布食堂にお昼を食べに行きました。六本木ヒルズの裏手からラオス、ギリシャ、ルーマニア大使館が並ぶ細い道を抜け、外苑西通りを渡って牛坂をのぼったところにあります。寒さがやわらいだ日で、ちょうどいい散策になりました。

restaurant 麻布食堂 ぐるなび

2016031801 2016031802

ランチのメニューは、オムライス、ハヤシライス、ハンバーグなど、洋食屋さんの定番のお料理。私たちはオムライスの大盛りとハンバーグの定食をシェアしていただきました。

オムライスのソースは、デミグラス、ケチャップ、クリームと3種類あり、デミグラスはハンバーグと同じソースでした。トマト風味のピラフを薄焼きのオムレツで包み、きれいな舟形に整えたオムライスは、ほっとする正統派のおいしさでした。

ハンバーグはつなぎがほとんど入らないフレンチビストロ風で、お肉のおいしさがしっかりと味わえました。つけあわせのマカロニとにんじんはあくまで控えめに、主役のハンバーグを支えています。

ご夫婦が切り盛りするお店は、駅から遠く離れていることもあり、静かで落ち着いた雰囲気。居心地の良さに食後はコーヒーをいただいて、すっかりくつろいでしまいました。

          cafe          cafe          cafe

帰りはもと来た道を通って六本木ヒルズにもどり、お買い物を楽しみました。春物の洋服を少々と、インテリアショップのAGITOさんでセールをしていたので、気になっていた食器を買いました。

2016031803_2

ブルーのスポンジ柄は、アメリカンアンティークでは琺瑯の定番柄ですが、これはイタリア製です。直径24cm、ぽってりと厚みがあるカフェ風の食器で、普段使いにはぴったり。朝食プレートにもよく合います。

どんぶりは、長年トラディショナルな漆器のものを愛用していますが、たまにはカジュアルなのもいいかな~?とこれは衝動買い。

2016031806

この日は牡蠣フライに使ってみましたが、こういう洋食屋さんのメニューによく似合います。ブルーがうるさいかな?と心配でしたが、お料理を華やかに引き立ててくれました。

2016031807

そろそろ筍やグリーンピースが出ていますね。今年初めて筍&豆ごはんを炊いたので、それに合わせて和風ハンバーグとほうれんそうの胡麻和えを盛りつけてみました。

2016031804 2016031805

この日はファーブルトンに。プルーンにプディング生地を流し入れて作るブルターニュ地方の焼菓子で、思い立った時に簡単にできるのがうれしい。もちっとした食感があって、私も大好きなお菓子です。素朴な風合いがブルーのスポンジ柄によく合いました。

2016031808

白いどんぶりは、まずは海鮮丼に使ってみました。漆器より、お刺身の色がきれいに映える気がします。下が鋭角にすぼまっているので、少なめのごはんでも盛り付けがぴたりと決まります。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

マネー・ショート 華麗なる大逆転 / マージン・コール

クリスチャン・ベイル、ライアン・ゴズリング、スティーヴ・カレル、ブラッド・ピットが共演する実話に基づく金融ドラマ、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(The Big Short)を見ました。原作は、マイケル・ルイスの「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」。

dollar マネー・ショート 華麗なる大逆転 公式HP

The_big_short_2

2005年、ニューヨーク。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンが債務不履行になる危険があることをいち早く見抜き、ウォール街で誰ひとり信じない中、サブプライムローンが暴落した時に保険金を受け取る金融商品(CDS)を大量に買い付けます。

マイケルの動きを偶然知ったジャレド(ライアン・ゴズリング)は、ヘッジファンド・マネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)にCDSへの投機を働きかけます。また、若き個人投資家ジェイミーとチャーリーもこれに気づき、一線を退いた伝説のトレーダー ベン(ブラッド・ピット)に相談を持ちかけます...。

The_big_short_16

いわゆるリーマンショックの裏側で、いち早く経済破たんの危機を察知し、CDSを空売りすることで多額の利益を得たトレーダーたちの姿を描きます。最初に気がついたのはへヴィメタルにTシャツ短パン、変わり者ながら数字を読むことに天才的なセンスをもつ、医学博士で金融トレーダーのマイケル。

サブプライムローンは優良金融商品として格付けされていたため、マイケルの行動は金融のプロたちから見ても理解に苦しむものでしたが、やがて住宅バブルに綻びが見えはじめ、Xデイは刻々と近づいてきます。

その後何が起こるか私たちは知っているので、傍観者として見ていられますが、これまで日本のバブルやITバブルなど、歴史は繰り返されてきたはずなのに、渦中にいるとどうして気がつかず巻き込まれてしまうのか、人間の愚かしさに一抹の虚しさを覚えます。

甘いことばに騙されてしまう方も悪いけれど、クズを平気で売りつける銀行家たちは”スーツを着た詐欺師”。もちろん事情を知らなかった人も多いし、大量の解雇者も出たわけですが、上層部はまったくお咎めなし、というのにも釈然としないものを感じてしまいました。

映画のセリフにもありましたが、70年代の銀行はもっと堅実な会社だったはず。思えば、人は形あるものを作っていた時代が一番尊かったのではないでしょうか。ペーパーワークだけで莫大な富を生み出す金融商品の存在に、人間の根源がゆさぶられる危うさを感じました。

The_big_short_8_2

金融用語やからくりを、マーゴット・ロビーやセリーヌ・ゴメス、カリスマシェフたちが次々と登場して、ブロック崩しやカジノのカードゲームなどを使ってわかりやすくレクチャーしてくれるのは、コメディ出身の監督らしいおもしろい趣向。

聞くとその時だけわかったような気になるのですが、それこそが罠なのかもしれません。冒頭のマーク・トゥエインの「何も知らないことが問題なのではない。知らないことを知っていると思い込むことが問題なのだ」というのは他ならない私たちへのメッセージなのだと思いました。

Margin_call_2_3

マージン・コール(Margin Call)

2011年、ケヴィン・スペイシー主演の金融ドラマ。日本では劇場未公開。偶然、数ヵ月前に見たのですが、こちらはリーマンショック前夜の24時間を投資銀行の側から描いたドラマなので、比べて見てみるとおもしろいです。

あと、今公開中の「ドリームホーム 99%を操る男たち」(99 Homes)という作品は、リーマンショック後に家を失った家族の側を描いた作品らしい。アンドリュー・ガーフィールド主演のサスペンスということでこちらも気になる! いずれ見てみたいです。

| | コメント (6) | トラックバック (9)

アントニン・レーモンド展 @教文館 ウェンライトホール

映画の前に、銀座の教文館ビル ウェンライトホールで開催された、「アントニン・レーモンド展」(3月10日で終了)を見に行きました。
school 教文館創業130年記念企画 アントニン・レーモンド展 教文館HP

Antonin_raymond_1

ここのところ建築展ばかり見ていますが、これも見逃すわけにはいかなかった。日本の教会やキリスト教関連施設、大学など、数々のモダニズム建築を手がけ、日本の建築家に多大な影響を与えたチェコ出身の建築家、アントニン・レーモンドのあゆみを紹介する企画展です。

アントニン・レーモンドは1888年チェコに生まれ、1910年アメリカに移住。1919年、帝国ホテルの設計助手としてフランク・ロイド・ライトとともに来日し、独立して事務所を開設。44年の滞日で400余の建築物を造りました。本展の会場は銀座を代表する老舗書店、教文館ビル。ここもアントニン・レーモンドによる設計です。

展示は模型はあまりなく、設計図や写真資料を中心としたものでしたが、緻密なハンドライティングの図面は幾何学的な美しさがあり、思わず見入ってしまいました。知っている建造物は特に興味深く、時代背景に思いをはせながら見ました。

2016031301_3

東京女子大学礼拝堂(1938)。レーモンドはキャンパス全体の計画と各建物の設計も行いました。礼拝堂はオーギュスト・ペレが設計した”ル・ランシーの教会堂”をなぞらえたデザインで、壁面のコンクリート・ブロックに色ガラスがはめ込まれています。

2016031302_2

カトリック聖パウロ軽井沢教会(1935)。塔のデザインにレーモンドの故郷、スロバキア地方の木造教会の影響が見られますが、木の扱い方には日本の大工さんの手法が取り入れられているそうです。

2016031303_3

立教学院聖パウロ礼拝堂(1963)。「立」の字をかたどった五角形の回廊の中心に、鐘楼が設けられています。特徴的なステンドグラスは、レーモンドの妻、ノエミ夫人によるデザインです。

2016031304_2

松坂屋銀座店 全面改装(1964)。銀座には、松坂屋デパート、日本楽器ビル、そして教文館ビルと3つのレーモンド建築がありましたが、残念ながら現存するのは教文館ビルのみです。松坂屋は昨年取り壊されてしまいました。

2016031306_2 2016031307

(左)教文館・聖書館ビル(1933)。高校生が作った模型です。教文館・聖書館2つの建物がエレベーターを共有する造りで、階上にはかつてレーモンドの事務所も入っていました。屋上のアールデコ様式の塔は取り外されましたが、エントランスやエレベーターホールには建設当時のデザインが今も残っています。

(右)日本楽器製造東京支店・山葉ホール(1951・1953)。楽器店舗とオフィス、階上には本格的な音楽専用ホール。ガラスのカーテンウォールで覆われた先進的なデザインでしたが、老朽化により2010年新しいビルに建て替えられました。

このほか聖路加国際病院旧館(1928)、イタリア大使館日光別邸(1928)、群馬音楽センター(1961)など。小さいながらも見応えのある企画展でした。図録も薄くて保存にちょうどよく、記念に購入しました。

【 関連記事 】
house イタリア大使館別荘 (日光 2012/08)
house エリスマン邸 (横浜 2012/05)
house 聖パウロカトリック教会 (軽井沢 2009/02)

2016031308

この日は偶然、東京マラソンの日で、コースとなっている銀座は大さわぎでした。仮装したランナーが何人もいて楽しかったです。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

モーガン・フリーマン&ダイアン・キートンが共演するハートウォーミングなドラマ、「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」(5 Flights Up)を見ました。
dog ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります 公式サイト

5_flights_up_7

ブルックリンにあるアパートメントで40年間暮らしてきたアレックス(モーガン・フリーマン)とルース(ダイアン・キートン)。マンハッタンが一望できるこの部屋を2人はとても気に入っていましたが、エレベーターがないため5階への上り下りがだんだんきつくなり、部屋を手放すことを決意します...。

5_flights_up_8

「1個5ドルのトマトね!」 こんなさりげない会話が40年来の夫婦らしい。

映画を見ているうち、結末はなんとなく読めてしまいますが、ダイアン・キートンとモーガン・フリーマンの夫婦がとにかくすてきで、ほっこりと心が温かくなる作品でした。ニューヨークらしいテンポのいい会話、不動産事情を織り込みつつ、街の様子が生き生きと描かれていたのがよかった。

かつてはソーホーが芸術家たちの街といわれていましたが、家賃の高騰にともない、最近ではブルックリンが、新たなアーティストたちの街として注目されています。対岸に見えるマンハッタンのスカイライン、レンガ造りの古めかしく重厚な街並み、ご近所さんとの人情味あふれるやり取りに、この街の魅力が伝わってきました。

不動産ディーラーをしている姪リリーのアドヴァイスもあり、ルースとアレックスはキャピタルゲインを見込み、老後に備えてエレベーターのある便利な部屋に住み替えようと思い立ちますが、他の部屋を見ていくうちに、40年間の思い出がよみがえり、ここに勝る場所はない...と気がつきます。

なるほど、愛犬の名まえが「オズの魔法使い」のドロシーというのはそういうことだったのか、と納得しました。^^

5_flights_up_19

「マンハッタン」のワンシーンみたい。

日本と違い中古物件をリノベートして住むことが多いので、売り買いする際、実際に住んでいる様子を見せてアピールするのはアメリカならでは。それまでずっと親身になってくれていたリリーが、最後に断られたとたんに態度を豹変させるところも、良くも悪くもニューヨーカーらしく、懐かしかったです。

5_flights_up_16_2 2016031101_2

若い頃を演じた2人もチャーミングでした。眼鏡がキーアイテムになっていたので、それに影響されてというわけではないのですが、このあと、JINSで新しい眼鏡を作ってしまいました。^^ わずかにパープルがかったべっ甲柄のクラシックフレームです。超ド近眼ですがレンズが薄くて気に入っています。

| | コメント (4) | トラックバック (3)

大倉山公園の梅

先月、横浜の大倉山公園に梅を見に行ってきました。実は家の都合で短期間この近くで仮住まいをしていたことがあり、今回16年ぶりに訪れました。新しいお店ができていたりして少し様子は変わっていましたが、当時の面影はそのまま残っていて懐かしかったです。

公園は東急東横線の大倉山駅から、線路沿いに坂道をのぼってすぐ。遊歩道を入り木立を抜けると視界が開け、ギリシャ風の洋館 大倉山記念館が現れます。
school 横浜市大倉山記念館 HP

2016030301_2

実業家で教育者の大倉邦彦さんが、大倉精神文化研究所として創設した建物で、のちに横浜市に寄贈されました。ホールやギャラリー、会議室などがあり、地域の憩いの場となっています。私もここでお花のお稽古をしていたことがあります。

2016030312

記念館からさらに公園を奥に歩くと、なだらかな下り坂となり谷間に梅林が広がっています。白~ピンクのグラデーションが美しく、霞のように幻想的な風景でした。梅は32種200本ということですが、規模も人の混雑もちょうどよく、ゆったり梅を愛でながら散策することができました。

2016030303

楚々とした美しい白梅。

2016030304

濃いピンクが印象的な鹿児島紅。

2016030305

少女の振り袖姿のように初々しい八重旭。

2016030306

こちらもまたかわいらしい八重寒紅。

2016030310_2 2016030307_3

(左)赤い萼(がく)が愛らしい白梅。(右)青い空によく映えます。

2016030309_2

こちらは緑の萼(がく)がさわやかな月影。

2016030311

池には東屋が張り出し、横の枝垂れ梅がみごとでした。

2016030308_2

公園の横にある一般のお宅ですが、窓からこんなすてきな梅林が見えたらうれしいですね。

2016030302

梅林をゆっくり楽しんだあと、帰りがけに大倉山記念館の中に入ってみました。西日が差し込み、黄金色に輝く吹き抜けの搭屋が美しかったです。ホールから歌のリハーサルが聴こえ、ギャラリーでは写真展が開かれ...穏やかな週末の時間が流れていました。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

リナ・ボ・バルディ展 @ワタリウム美術館

青山のワタリウム美術館で開催されている「リナ・ボ・バルディ展」(~3月27日まで)を見に行きました。
school リナ・ボ・バルディ展 ワタリウム美術館HP

Lina_bo_bardi_1

リナ・ボ・バルディは、イタリア生まれ。ローマ大学で建築を学び、ミラノでインテリアデザイナーをしていましたが、1946年、美術評論家である夫がサンパウロ美術館に招かれたのを機にブラジルに移住し、1992年に亡くなるまで建築家として活躍しました。

Lina_bo_bardi_14

本展は、日本で初めて開催されるリナ・ボ・バルディの展覧会。建築家の妹島和世さんが監修を務められたと知り、興味を持ちました。初めて知るリナの建築と、彼女の生き方、建築に対する考え方に、筋の通った凛とした強さを感じ、すっかり魅了されました。

戦後のイタリアから船に乗ってブラジルに渡るや、”魔法にかかった”というリナ。人々の生きる喜びやエネルギーに魅了され、ここでの永住を決意します。今のブラジルには貧困や犯罪など負のイメージもありますが、モダンな中にも素朴な温もりが感じられるリナの建築に、ブラジルへの想像がふくらみました。

ワタリウム美術館はこじんまりとしていて、数人でいっぱいになるエレベーターに乗って、2~4階の小さな展示室を移動するのですが、親密な空気が感じられ、リナの展覧会にぴったりだと思いました。スタッフによるガイドツアーもあり、理解を深めることができました。

Lina_bo_bardi_10

2階の展示室に入ると、サンタ・マリア・ドス・アンジョス教会(1978)の模型がお出迎え。サンパウロ郊外にあるカトリックの聖堂です。予算が限られていたため、リナはシンプルな素材とデザインによる質素な建築を考え、愛情をこめて”貧しい建築”とよびました。

外壁はコンクリートとこの土地の赤色の粘土を混ぜたしっくいで、藁のようなひさしが素朴で愛らしい。椅子を並べただけのシンプルな礼拝堂は、まっさらな気持ちで神と向き合うことができそうです。ワタリウムの2階の展示室は、床がこの教会の壁と同じ赤土のしっくいで設えられ、心憎い演出でした。

Lina_bo_bardi_8_2

SESCポンペイア文化センター(1986)。サンパウロの廃業した工場を公共のスポーツ文化センターに改装する、リナ最大のプロジェクトです。(左側に見える)廃工場で、破れた屋根から落ちる雨に構わず遊びやサッカーに興じる子どもや若者たちを見て、リナはここをそのまま生かすことに決めたそうです。

そして(右側に見える)ジムと更衣室が橋でつながる2つのタワーを設計しました。雲形の窓には、ガラスの代わりに赤い格子戸がはめられていますが、これはリナが来日した際に、京都や鎌倉の建築からヒントを得たのでは?と言われています。

Lina_bo_bardi_7

サンパウロ美術館(1968)。美術館は開かれた場所であるべきだと考えたリナは、ガラスの箱を浮かせたような建物の下をオープンスペースとし、市内を一望できる、市民のための広場として設計しました。

Lina_bo_bardi_11

リナの最初の作品であり、夫婦の自邸でもある”ガラスの家”(1951)。ファサード全体がガラスで覆われ、ジャングルに囲まれた空間は、写真を見ると自然と一体化した開放感がありました。この家のインテリアも家具も、すべてリナがデザインしたそうです。

Lina_bo_bardi_6_3

3階の展示室には、”ガラスの家”のリビングルームが再現されていました。リナがデザインした椅子や、ブラジルの工芸品が並び、床も”ガラスの家”と同じ、淡いブルーのガラスタイルが敷き詰められています。

Lina_bo_bardi_12

4階の展示室には年表や資料が展示され、リナがデザインしたボールチェア(1951)に座って、インタビュー映像を見ることができました。首を傾け、力強く話す姿は、迫力があって引き込まれました。日本を2度も訪れているというリナ。何かが彼女の心を捕らえたとしたら、うれしく思います。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »