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リナ・ボ・バルディ展 @ワタリウム美術館

青山のワタリウム美術館で開催されている「リナ・ボ・バルディ展」(~3月27日まで)を見に行きました。
school リナ・ボ・バルディ展 ワタリウム美術館HP

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リナ・ボ・バルディは、イタリア生まれ。ローマ大学で建築を学び、ミラノでインテリアデザイナーをしていましたが、1946年、美術評論家である夫がサンパウロ美術館に招かれたのを機にブラジルに移住し、1992年に亡くなるまで建築家として活躍しました。

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本展は、日本で初めて開催されるリナ・ボ・バルディの展覧会。建築家の妹島和世さんが監修を務められたと知り、興味を持ちました。初めて知るリナの建築と、彼女の生き方、建築に対する考え方に、筋の通った凛とした強さを感じ、すっかり魅了されました。

戦後のイタリアから船に乗ってブラジルに渡るや、”魔法にかかった”というリナ。人々の生きる喜びやエネルギーに魅了され、ここでの永住を決意します。今のブラジルには貧困や犯罪など負のイメージもありますが、モダンな中にも素朴な温もりが感じられるリナの建築に、ブラジルへの想像がふくらみました。

ワタリウム美術館はこじんまりとしていて、数人でいっぱいになるエレベーターに乗って、2~4階の小さな展示室を移動するのですが、親密な空気が感じられ、リナの展覧会にぴったりだと思いました。スタッフによるガイドツアーもあり、理解を深めることができました。

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2階の展示室に入ると、サンタ・マリア・ドス・アンジョス教会(1978)の模型がお出迎え。サンパウロ郊外にあるカトリックの聖堂です。予算が限られていたため、リナはシンプルな素材とデザインによる質素な建築を考え、愛情をこめて”貧しい建築”とよびました。

外壁はコンクリートとこの土地の赤色の粘土を混ぜたしっくいで、藁のようなひさしが素朴で愛らしい。椅子を並べただけのシンプルな礼拝堂は、まっさらな気持ちで神と向き合うことができそうです。ワタリウムの2階の展示室は、床がこの教会の壁と同じ赤土のしっくいで設えられ、心憎い演出でした。

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SESCポンペイア文化センター(1986)。サンパウロの廃業した工場を公共のスポーツ文化センターに改装する、リナ最大のプロジェクトです。(左側に見える)廃工場で、破れた屋根から落ちる雨に構わず遊びやサッカーに興じる子どもや若者たちを見て、リナはここをそのまま生かすことに決めたそうです。

そして(右側に見える)ジムと更衣室が橋でつながる2つのタワーを設計しました。雲形の窓には、ガラスの代わりに赤い格子戸がはめられていますが、これはリナが来日した際に、京都や鎌倉の建築からヒントを得たのでは?と言われています。

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サンパウロ美術館(1968)。美術館は開かれた場所であるべきだと考えたリナは、ガラスの箱を浮かせたような建物の下をオープンスペースとし、市内を一望できる、市民のための広場として設計しました。

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リナの最初の作品であり、夫婦の自邸でもある”ガラスの家”(1951)。ファサード全体がガラスで覆われ、ジャングルに囲まれた空間は、写真を見ると自然と一体化した開放感がありました。この家のインテリアも家具も、すべてリナがデザインしたそうです。

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3階の展示室には、”ガラスの家”のリビングルームが再現されていました。リナがデザインした椅子や、ブラジルの工芸品が並び、床も”ガラスの家”と同じ、淡いブルーのガラスタイルが敷き詰められています。

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4階の展示室には年表や資料が展示され、リナがデザインしたボールチェア(1951)に座って、インタビュー映像を見ることができました。首を傾け、力強く話す姿は、迫力があって引き込まれました。日本を2度も訪れているというリナ。何かが彼女の心を捕らえたとしたら、うれしく思います。

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コメント

セレンさん☆
ワタリウム美術館って凄くご近所なのですが、実は一度も訪れたことないのです。
前は良く通るのですが・・・
こんな素敵な展示があるなら、行って見なくてはね!
セレンさんは建築がご専門だったのですか?
こんな風に自在に設計できるなんて、楽しいでしょうね~

投稿: ノルウェーまだ~む | 2016年3月 3日 (木) 00時38分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
おはようございます。
ワタリウム美術館、私もず~っと気になりながら
実は入ったのは初めてなんです。
現代アートやデザインを中心とした個性的な企画展をやってますよね。
こじんまりとしていますが、そこがかえってよい感じでしたよ。
すてきなカフェやギフトショップもありますのでお散歩がてら是非。
私は専攻は数学ですが、建築を見るのは大好きです☆

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2016年3月 3日 (木) 08時35分

ワタリウム美術館、私も行ったことがありません。
面白そうな企画ですね。
しかしこの”ガラスの家”、美しいけれど外から丸見えで
実際に住むには大変そうです…w

投稿: zooey | 2016年3月 4日 (金) 08時57分

☆ zooeyさま ☆
こんにちは。
リナの生き方がかっこよく、魅力的な企画展でした。
ガラスの家もすてきでした。
高台にあって周りをジャングルで囲まれているので
見えるわけではないでしょうが...
なんだか無防備になった気がしてしまいますね。

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2016年3月 4日 (金) 17時24分

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