ルノワール展 @国立新美術館
招待券をいただいて、六本木の国立新美術館で開催されている「ルノワール展」(~8月22日まで)を見に行きました。世界有数のルノワール・コレクションを誇る、パリのオルセー美術館、オランジュリー美術館から、100点余が来日しています。
私がオルセーとオランジュリーを訪れたのは、オルセーが1986年に開館した2年後の夏。どちらも大好きな美術館です。オルセーの優美で荘厳な建物が、もとが駅舎だったというのも驚きですが、自然光の入る明るい展示室が当時としては画期的で、印象派の作品を展示するのにぴったりの空間だと感動しました。
印象派の作品は日常をテーマにしたものが多く、そのわかりやすさゆえに、近年は揶揄されることもありますが、私は大好き。特にルノワールの作品は、曇りのない明るさと豊かさがあって、見るたびに幸せな気持ちに満たされます。
久しぶりに代表作の数々と再会して改めて色彩の輝きに魅了され、特に木漏れ日の美しさに気づかされました。息子のジャン・ルノワールの映像作品を見ることができたのも思いがけない喜びで、ルノワールの家族愛と、当時のパリの息吹に思いを馳せました。
陽光のなかの裸婦 (エチュード、トルソ、光の効果) (1876)
最初の展示室には、ルノワールにはめずらしい男性の裸体を描いた「猫と少年」と、初期の代表作「陽光の中の裸婦」の2点。「陽光~」で描かれるまだらに青い肌は、当時は”腐敗した肉体”と酷評されることもあったそうですが、私には青い影から木陰の心地よさが伝わってきました。
ぶらんこ (1876)
ブルーのリボンがついた愛らしいドレスに身に包んだ少女はジャンヌといい、ルノワールのお気に入りのモデルだったそうです。健康的で天真爛漫な少女の姿は、レイチェル・マクアダムスに似ているような...?
ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会 (1876)
モンマルトルのダンスホールに集う人々を描いたルノワールの代表作。手前中央の黒いドレスに身を包んだ女性は、「ぶらんこ」にも描かれているジャンヌです。太陽の下のパーティは明るく開放的で、歌い、踊り、語らい、誰もが笑顔で楽しそうです。
今回、ルノワールの次男で映画監督のジャン・ルノワールの「ナナ」、「フレンチ・カンカン」、「恋多き女」の3作品が編集上映されていたのですが、「恋多き女」が、まるでこの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット~」が動き出したかのような作品で、合わせて見ると感慨もひとしおでした。
(左)都会のダンス(1883) (右)田舎のダンス (1883)
これも大好きな作品。2つの対比が鮮やかですが、左の女性はユトリロの母で、のちに画家として活躍するシュザンヌ・ヴァラドン。右の女性はのちにルノワールの妻となるアリーヌ・シャリゴ。2人の女性の間で揺れ動くルノワールの心のうちと、決断が秘められているといわれています。
ちなみに私は、左は(若い頃の)ジェニファー・コネリー、右はミシェル・ウィリアムズを思い浮かべました。
ピアノを弾く少女たち (1992)
長くピアノを習っていたので、子どもの頃から大好きな作品でした。学校の教室に飾ってあったのも懐かしい思い出です。
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コメント
こんばんは!
ルノワール展、行かれたんですね。
先日、地方のお客様(うちの職場の)が上京されたのですが、その時、お土産でお菓子と、ルノワール展の葉書をいただきました。
上京された折に行かれたんでしょうが、やっぱりルノワールは人気がありますね!
印象派は日本人には人気があるけど、ルノワールの作品は暖かな色彩とタッチが独特で心をひきつけられます。
印象派を揶揄する風潮が最近はあるんですか?私は、印象派は決してわかりやすいスタイルだとは思わないな~。ただとても一般的に人気があるから、斜め目線で揶揄する人がいるんでしょうね。
今回100点以上も作品がきてるんですね。私も行こうかな~~。セレンディピティさんの記事で足を運びたくなってきました。
投稿: ごみつ | 2016年6月 1日 (水) 03時26分
☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
ルノワール展、すごくよかったです。
印象派の作品展などで、いくつか見ることはありますが
これだけまとまった作品を見る機会はなかなかないですし
大作や人気の作品がいくつもあって見応えがありました。
私はやっぱりこの暖かくて明るい色彩が好きなんだなー
と再確認しました。^^
100点のうち、ルノワール以外の作品が20点ほどありましたが
当時のパリの空気が伝わってくるようでした。
ジャン・ルノワールの映画は、今度改めて見てみたいなーと思っています☆
投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2016年6月 1日 (水) 11時19分