キャロル / シークレット・アイズ / 教授のおかしな妄想殺人
最近劇場で見た映画、3作品の感想を簡単に書き残しておきます。

キャロル (Carol)
UPLINKで上映していたので、遅ればせながら見てきました。1952年のニューヨークを舞台に、夫のお飾りの妻として満たされない思いを抱いているキャロルと、恋人から結婚を申し込まれながら写真家になる夢をあきらめられないテレーズが、自分らしい生き方を見つけるまでのラブストーリーです。
テレーズのモデルは、原作者のパトリシア・ハイスミス自身だそうで、彼女の成長物語としても興味深く見れました。クラシックな映像が美しく、50年代のきらきらとしたニューヨークと、当時のエレガントなファッションを堪能しました。ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラ、目で語る2人の演技もすばらしかったです。
個人的にはセールスマンのくだりがおもしろかった。このサスペンスな展開のうまさは、さすがはハイスミスとうらなされました。
シークレット・アイズ (Secret in Their Eyes)
アルゼンチンのサスペンス映画、「瞳の奥の秘密」のハリウッドリメイク。オリジナル版がすごくよかったので、それを超えることはないだろうな...と過度な期待をせずに見ましたが、9.11後のテロ対策捜査を絡めたり、サッカースタジアムを野球場に変えたり、とアメリカらしい設定が生きていました。
結末を知っていたのでサプライズはなかったですが、それでもぎりぎりまで「ひょっとしたら違う結末かも...」と思わせる、ジュリア・ロバーツの演技はさすが。でも役作りとはいえ、かなり老け込んでいてショックを受けました。
ニコール・キッドマンは相変わらず美しい。彼女が思い切り下品なことばで犯人を挑発する場面は見応えありました。^^
教授のおかしな妄想殺人 (Irrational Man)
ウッディ・アレン監督の最新作。ブラックユーモアの効いた不条理劇で、スノッブでシニカルな会話が楽しめましたが、もう少し遊び心とひとひねりが欲しかったかな? アレンのコミカルな不条理ミステリーといえば、「タロットカード殺人事件」なんてナンセンスで大好きですが...。
音楽がラムゼイ・ルイスとは懐かしい。The 'In' Crowdにはじまるのりのりのジャズは、どれもかっこよかったです。
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『ミッドナイト・イン・パリ』など数々の傑作を生み出してきた巨匠ウディ・アレン監督が、人生における不条理さを独自の考えのもとに描いたブラックコメディー。アレン監督とは初タッグとなるホアキン・フェニックス。彼に恋心を抱く女子大生を、『バードマン あるいは(無...... [続きを読む]
受信: 2016年6月22日 (水) 15時53分
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受信: 2016年6月22日 (水) 15時53分
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スペイン映画「瞳の奥の秘密」のハリウッドリメイク。だから結末は判っていた。判っていたんだけど…。ジュリア・ロバーツの哀愁が凄い。でも哀愁で言えば、出演者全員哀愁が漂う。何故なら13年前から時が止まっているのだから。そう考えると、9.11.がもうそんなに前のことだったんだ、と改めて思う。歳月というものは何とも恐ろしいものだ。13年前、レイプされて殺された若い女性キャロリン。彼女は、テロ対策のためNYからLAへ赴任してきたFBI捜査官レス(キウェテル・イジョホー)の当地での相棒ジェス(ジュリア・ロバーツ... [続きを読む]
受信: 2016年6月22日 (水) 15時58分
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「Carol」 2015 UK/USA
1952年のニューヨーク。クリスマスを目前に高級百貨店のおもちゃ売り場でアルバイトをしているテレーズも忙しくしている。彼女はフォトグラファーになることが夢。そしてボーイフレンドのリチャードからはプロポーズされヨーロッパに行こうと熱心に誘われているがなぜかその気にならない。そんなある日、おもちゃ売り場に現れたエレガントな女性に魅せられてしまう...
キャロル・エアードに「ミケランジェロ・プロジェクト/2013」「シンデレラ/2015」のケイト・ブラン... [続きを読む]
受信: 2016年6月22日 (水) 20時51分
» 「シークレット・アイズ」 [ヨーロッパ映画を観よう!]
「Secret in Their Eyes」2015 USA/UK/スペイン
2002年、ロサンゼルス。2001年9月に起きた同時多発テロの後、検察局にテロ対策合同捜査班が設置され、ニューヨークからFBI捜査官のレイがやって来る。ある日、事件が起きレイは相棒で親友でもあるジェスと共に現場に駆けつけるが、被害者がジェスの娘と知り愕然となる。やがて怒りに燃えるレイは、就任したばかりのエリート検事補クレアと捜査に乗り出し有力な容疑者を見つけ出すのだった...
レイ・カステンに「キンキー・ブーツ... [続きを読む]
受信: 2016年6月22日 (水) 20時52分
» 教授のおかしな妄想殺人 [映画的・絵画的・音楽的]
『教授のおかしな妄想殺人』を渋谷ル・シネマで見ました。
(1)ウディ・アレン監督の最新作ということで映画館に行ってきました。
本作(注1)の冒頭では、主人公のエイブ(哲学科の教授:ホアキン・フェニックス)が車を運転しています。その内心の声が、「カントいわ...... [続きを読む]
受信: 2016年6月24日 (金) 21時08分
» 「教授のおかしな妄想殺人」 [ここなつ映画レビュー]
ウディ・アレンにしてはフツーな作品だった。極めて普通。公開終了間際に慌てて観に行かなくても良かったかも、と思う位。もちろん面白かったけどね、それなりに。スノッブさも毒も自嘲もそこそこに盛り込まれ。でも、みんな比較的ちょびっとずつで、うわっ!これはアカン!というような、いつものしてやられた感は無かった。この作品といくばくかの自身の体験から判った(=更に確信した)ことは…※哲学者には変わり者が多い※この世で一番不遜な人間は少しだけ綺麗目の女子大生である※若い時に出会う真面目で誠実な男ほどつまらないものは... [続きを読む]
受信: 2016年7月12日 (火) 12時58分
» 哲学と恋と殺人と [笑う社会人の生活]
13日のことですが、映画「教授のおかしな妄想殺人」を鑑賞しました。
アメリカ東部の大学に赴任してきた哲学科の教授エイブは人生の意味を見失い 孤独で無気力な暗闇に陥っていた
ある日 悪徳判事の噂を耳にし その判事を自らの手で殺害する完全犯罪を夢想し その計画に夢...... [続きを読む]
受信: 2016年7月16日 (土) 23時00分
» 13年間、そこには・・・ [笑う社会人の生活]
16日のことですが、映画「シークレット・アイズ」を鑑賞しました。
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エリート検事補のクレアと捜査にあたるレイは容疑者を特定 しかし FBIの内部事情が絡み 真相は葬り去...... [続きを読む]
受信: 2016年7月20日 (水) 07時49分
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2009年、日本でも公開されたアカデミー賞外国語映画賞アルゼンチン映画の
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13年前の未解決殺人事件を解決すべく、捜査員たちが再会し、その後思わぬ真相にたどり着く。
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エイブに「帰らない日々/2007」「アンダーカヴァー/2007」「ザ・マスター/2012」「エヴァの告白/2013」のホアキン・フェニックス。
ジルに「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)/2014」「マジック・イン・ムーンライト/2014」... [続きを読む]
受信: 2016年8月 4日 (木) 19時39分
» 「キャロル」 [或る日の出来事]
ビューティフル! [続きを読む]
受信: 2017年6月13日 (火) 22時49分
» 「シークレット・アイズ」 [或る日の出来事]
「瞳の奥の秘密」のハリウッド・リメイク。 [続きを読む]
受信: 2017年7月29日 (土) 05時57分
» 映画:シークレットアイズ Secret in Their Eyes アルゼンチン オリジナル版に挑戦した、ハリウッド版リメイクの出来は? [日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~]
アカデミー賞外国映画賞を受賞したアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」のリメイク。
当時の感想をまず振り返ってみる。
通常触れられない世界の映画をみると、ハリウッド映画や日本映画にない感性を発見して面白い。
この映画では、
「アルゼンチン流、怨念」
「アルゼンチン流、友情」
「アルゼンチン流、愛情」
「アルゼンチン流、ストーリーテリング」
...... [続きを読む]
受信: 2017年7月29日 (土) 08時11分
» シークレット・アイズ [銀幕大帝α]
SECRET IN THEIR EYES
2015年
アメリカ
111分
ミステリー/サスペンス/犯罪
劇場公開(2016/06/10)
監督:
ビリー・レイ
脚本:
ビリー・レイ
出演:
キウェテル・イジョフォー:レイ・カステン
ニコール・キッドマン:クレア・スローン
ジュリア・ロバーツ:...... [続きを読む]
受信: 2017年10月17日 (火) 18時08分
コメント
こんにちは。
どれも話題作ばかりですね!
この3本の中では、「キャロル」が一番良さそうですが、一番気になっていたのは「シークレット・アイズ」です。
「キャロル」はもうDVD出たの!?と思っちゃいましたが、まだ公開されてたんですね。これは、セレンさんと同じくハイスミスの原作と同時に観賞すると堪能できそうです。
ウッディ・アレンは最近エマ・ストーンがお気に入りですね。彼は女優のチョイスがいつも本当に素晴らしいと思います。
投稿: ごみつ | 2016年6月21日 (火) 17時46分
☆ ごみつさま ☆
おはようございます。
キャロル、私もとっくに終わっていると思っていたら
オマールの壁を見た時にUPLINKで上映していることを知りました。
映画は上質なアートの仕上がりでしたが
原作は少女漫画?宝塚?の世界でびっくりしました。
ハイスミスの隠れた一面を知った思いがしました。
ウッディ・アレンの映画のヒロインは
波に乗っている旬の女優さんが多いですね。
2作続けてエマ・ストーンのキュートな魅力を堪能しましたが
次作のクリステン・スチュワートも楽しみです☆
投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2016年6月22日 (水) 08時14分
こんにちは。
「シークレット・アイズ」の方でお邪魔します。
ジュリア・ロバーツの老けこみ方に驚かれたみたいですが、ホント、老けていましたね。というか、老けて見せていましたね。
ティーンエイジャーの愛娘を失くして13年…っていうことは、けっこうな中年(老年?)の域ですから、ある意味迫真の演技なのではないかと思いました。
投稿: ここなつ | 2016年6月22日 (水) 16時11分
☆ ここなつさま ☆
こんにちは。
ジュリア・ロバーツ、びっくりしましたが、女優魂を感じました。
年齢の経過もそうでしょうが、13年間の苦しみが
表情にあらわれていましたね。
迫真の演技に圧倒されました。
投稿: ☆ ここなつさま ☆ | 2016年6月22日 (水) 17時03分
こんばんは。
「キャロル」まだ上映していたんですね。この映画は心に残るラブストーリーの1作となりました。映像がとても綺麗でした。
「シークレット・アイズ」はやはりスペイン版には適わないですね。俳優たちは良かったのですが...。
ウディ・アレンの映画は今日見てきました。かなりブラックな展開で面白かったですが、最近マンネリズムかもですね?
投稿: margot2005 | 2016年6月22日 (水) 20時59分
☆ margot2005さま ☆
こんにちは。
オマールの壁を見に行った時にUPLINKで上映していることを知り
遅ればせながら見てきました。
女性同士のラブストーリーですが、主演の2人が魅力的なので
抵抗なく見れました。映像もすてきでしたね。
「シークレット・アイズ」は、オリジナル版の重厚感やパッションが
とても心に残っていたので、ややライトに感じられましたが
比較しながら楽しく見れました。
ウッディ・アレンの作品はちょっと拍子抜けでしたね?
でも音楽や会話のセンスはさすがでした☆
投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2016年6月23日 (木) 09時11分
こんにちは!
「教授~」の方でもお邪魔します。
そう、「ウディ・アレンにしては」の注釈つきなのですが、本作はイマイチでした。
が、音楽良かったですね~!今でも日常のちょっとした時に耳に浮かんでくるので、ちょっと浮足立ってしまい困っています(笑)。
投稿: ここなつ | 2016年7月12日 (火) 13時08分
☆ ここなつさま ☆
こんにちは♪
再びTB&コメント、ありがとうございます。
オープニングからわくわく期待しましたが...
ウッディ・アレン節がややトーンダウンでしたね。
ラムゼイ・ルイスは一時期すごく好きだったので懐かしかったです♪
アレンは音楽の使い方が上手ですね。
投稿: ☆ ここなつさま ☆ | 2016年7月13日 (水) 09時38分
こんばんは。
いつもTBありがとう!
さてウディ・アレン作品は少々マンネリズムでしょうか?
前作も本作もどうもつまらなかったです。
>もう少し遊び心とひとひねり...
そう正にソレですね!
次に期待するのはやめにしますが、又見に行ってしまうかもです。
投稿: margot2005 | 2016年8月 4日 (木) 19時45分
☆ margot2005さま ☆
おはようございます。
アレンの小さな作品も意外と好きなのですが
これは少々期待外れでした。
次はCafe Societyですね!
トレイラーを見るかぎり、なかなかおもしろそうだけど...
ジェシーくんとクリステン・スチュワート好きなので
私もたぶん見に行ってしまうと思います。^^
投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2016年8月 5日 (金) 07時44分
セレンディピティさま
ウディアレンも、年1作というノルマはきついのかもしれませんね。
でも、自動車の免許と違い、映画作りから引退しろとも言えません。天才にも凡人にも平等に訪れる時というものの残酷さをまざまざと思い知らせてくれる反面教師として、大いに作って貰いましょう。さいわい、映画を見ることで退屈はしても、ひき逃げされるわけじゃないですからね。
投稿: Bianca | 2017年3月15日 (水) 12時19分
Biancaさま、さっそくコメントをありがとうございます。
ウディ・アレン、御年80歳をすぎてこの創作意欲はほんとうにすばらしいですね。
しかも恋愛模様をあれこれ描いているのですから
それが若さを保つ秘訣になっているのかもしれません。
これからも新作を楽しみに待ちたいと思います♪
投稿: ☆ Biancaさま ☆ | 2017年3月15日 (水) 16時04分