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疑惑のチャンピオン

ツール・ド・フランスで7連覇を達成するも、薬物使用によりタイトル剥奪、自転車競技から永久追放となったランス・アームストロングを描いた実話に基づくドラマ、「疑惑のチャンピオン」(The Program)を見ました。
bicycle 疑惑のチャンピオン 公式サイト

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アメリカ人自転車ロードレーサー ランス・アームストロング(ベン・フォスター)は、25歳で重度のガンに侵されますが、大手術を受けて克服。過酷なリハビリを経て、1999年から2005年までツール・ド・フランスで7連覇を達成します。

アームストロング選手の奇跡の復活は多くの人々に感動と希望を与えましたが、その勝利の陰には、スポーツ医学の権威によって綿密に計画され、組織的に実行されたドーピング・プログラムの存在がありました...。

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イギリスのサンデー・タイムズ紙の記者デヴィッド・ウォルシュのノンフィクションを、「クイーン」「あなたを抱きしめる日まで」のスティーヴン・フリアーズ監督が映画化。今ちょうどツール・ド・フランス2016が開催されている最中での、タイムリーな映画公開です。

ツール・ド・フランスは毎年7月に開催されている伝統ある自転車ロードレース。23日間かけてフランス全土3500kmを走るという過酷なレースです。この映画では、アームストロング選手のチームがどのようにドーピングを続けてきたか、プログラムの全貌を明らかにしていて衝撃を受けました。

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リオ五輪を前に、連日ドーピングのニュースが入ってきていますが、先日テニスのシャラポワ選手が2年間の大会出場停止処分を受けた際に、彼女が使っている薬剤が今年からドーピングの対象となっていることを知らなかった、失敗した、と話していたことが気になっていました。

トップアスリートたちにとってほんのわずかな差で勝敗がつく厳しい世界。ウェアや機材に最新のテクノロジーを駆使するのと同じ感覚で、さらなる高みを目指して、禁止薬剤に触れない範囲で戦略的に薬物を使用する選手がいても不思議ではないかもしれません。

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ロシアのような国家主導でのドーピングは論外ですが、アームストロング選手が関わった不正も、かなり組織的で悪質なものでした。ツール・ド・フランスはチーム戦なので、アームストロング選手は自身のみならず、チームメイト全員にも同じドーピングプログラムを課していたのです。

映画では、ドーピング検査を切り抜けるために、どうやって血中薬物濃度を下げるか、その手口も見せていましたが、選手ひとりの力では到底ここまでできるはずはなく、医師やスタッフ、指導者ぐるみでの組織的な犯罪であり、おそらくスポンサーや主催者も黙認していたのでは、と思います。

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どうしてこれほど問題が大きくなるまで放置されていたのか。そこには本人の勝ちたいという強い思いのほかに、大会やスポンサーの思惑もあったでしょうし、ガンを克服して不死鳥のように蘇るスーパーヒーロー、という感動的なストーリーを人々が求めていたということもあるでしょう。

個人的には生還してツール・ド・フランスに出場するだけでも十分すごいことだと思いますが、勝負の世界に生きるアスリートが、最初から優勝を取りに行かない、などというのはありえないのかもしれませんね。

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映画」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
なかなか見応えがある作品だったと思います。
私もですね、この件は「組織ぐるみ」「業界ぐるみ」だった所に忌むべきものを感じました。
ロシアのドーピングも正にそれで…選手一人に責任を負わせて済む話ではないのですよね。
ご指摘のように、
>ウェアや機材に最新のテクノロジーを駆使するのと同じ感覚で、さらなる高みを目指して、禁止薬剤に触れない範囲で戦略的に薬物を使用する
気持ちが出てきてもおかしくないような気がするので。

投稿: ここなつ | 2016年8月 4日 (木) 10時13分

☆ ここなつさま ☆
こんにちは。
ドキュメンタリータッチで淡々とした作りながら
衝撃的な内容で見応えがありました。
ちょうどオリンピック前で、ドーピングが大きな社会問題と
なっている時期だけに、いろいろと考えさせられる作品でしたね。

スポーツマンシップと公正性を考えると
ここまでズルして手に入れる勝利に
はたして意味はあるのか?疑問に思ってしまいます。
選手の暴走を許してしまった主催者、スポンサーの責任も大きいですね。

投稿: ☆ ここなつさま ☆ | 2016年8月 4日 (木) 13時47分

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受信: 2016年7月21日 (木) 07時59分

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ガンから奇跡の復活を果たし、自転車レースの最高峰“ツール・ド・フランス”で前人未踏の7連覇という偉業を成し遂げ、自転車界のみならずスポーツ界のスーパースターに登り詰めたアメリカ人アスリート、ランス・アームストロング。長年、疑惑の目を向けられながらも、決して尻尾を掴まれることのなかった彼だったが、現役引退後の2012年、ついに米国アンチ・ドーピング機関“USADA”によって進められた調査によってドーピング違反が認定され、7連覇を含む全タイトルを剥奪された。 主演は「ローン・サバイバー」「3時10分、決... [続きを読む]

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ツールドフランス前人未到の7連覇を達成したアメリカ人ランス・アームストロングの黒く汚れた栄光についての物語。彼は類い稀な才能と克己心をもってレースに挑んだが、その裏では薬物の力を借りた組織ぐるみのドーピングが行われていたのだ。このことが白日のもとに晒されて以降、彼は7連覇のチャンピオンの資格を剥奪され、今日、このような作品が作られることとなった。ランス役を演じるのは「マット・デイモンでもジェイク・ギレンホールでもなく」、ベン・フォスターである。そういった意味では熱演のベン・フォスターには賛辞を贈りた... [続きを読む]

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