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トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

1950年代の赤狩りの時代に「ローマの休日」などの名作を送り出した脚本家、ダルトン・トランボの波乱の人生を描いた伝記ドラマ、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(Trumbo)を見ました。
movie トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 公式サイト

Trumbo_1

ハリウッドの脚本家として成功を収めていたダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)は、冷戦時代に赤狩りの対象となって投獄され、ハリウッドを追放されてしまいます。しかし理不尽な妨害にめげずにいくつもの偽名を使い分け、B級作品から大作まで、次々と脚本を手掛けていきます...。

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映画を見るまでトランボって知らないな...と思っていたのですが、ハリウッドの黄金時代、またトランボ自身にとっても脂ののっていた時代に、赤狩りの標的となってハリウッドを追放され、名誉を回復するまでいくつもの偽名を使い分けて、多くの名作を生み出した脚本家だということを知りました。

あの「ローマの休日」も、トランボが友人の名まえを借りて書いたもので、映画は大ヒットし、その年のアカデミー原案賞を受賞しました。それが明らかになったのはトランボが亡くなった後で、1993年、改めて彼の名まえでオスカーが贈られたそうです。

フィルモグラフィを見ると、私が大好きな「いそしぎ」も彼の作品だったと知り、うれしくなりましたが、このほかにも「スパルタカス」「栄光への脱出」「ジョニーは戦場に行った」「パピヨン」(いずれも未見)など、数々の重厚な人間ドラマを生み出しました。

Trumbo_4

トランボが撮影現場の裏方さんたちのために労働運動に参加するというセリフがあったものの、映画を見るかぎり、共産主義者というほどではないように思ったので少々腑に落ちなかったのですが、冷戦が幕開けしたばかりのこの頃は、恐怖からくる猜疑心が支配する時代だったのでしょうね。

トランボは国家の敵というレッテルを貼られ、弾圧されますが、権力に屈することなく、仲間を売らず、かといって他者を非難せず、自らの信念を曲げなかった。その気になれば、うまく立ち回ることもできたでしょうが、トランボは家族、特に子どもたちのために、自分に恥ずかしいことはできなかったのだろうと想像しました。

そして家族を養うために別の仕事に就くこともできたはずですが、偽名を使っても脚本書き続けたのは、映画を愛し、書くことを愛し、映画の世界にいることで何より自分が生きていることを実感できたからだと思います。

だから彼はB級映画を作る小さな映画会社と契約して、破格のギャラで、文字通り寝食も忘れ、脚本を書いて、書いて、書き続けた。そうした中で「黒い牡牛」という名作が生まれ、アカデミー賞まで受賞してしまうのですから、こんなに痛快なことはありません。

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偽名で書いたので誰も彼が受賞したことを知らなくとも、その喜びを共有できる家族がいたことは、何より彼には幸せだったに違いありません。困難な中にいても自分を見失わず、ユーモアを忘れず、家族と映画を愛し続けたトランボに大きな勇気を与えられました。

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映画」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

私も今回トランボがとても有名なハリウッドの脚本家だったことを知りました。
20年以上前にレンタル・ビデオ(DVDではありません)で見た「栄光への脱出」「パピヨン」は名作かと思います。
そしてテイラー&バートンの「いそしぎ」も懐かしいですね。
このような名作の脚本を書いた人物はユーモアがあって、映画が大好きで、家族を大事にする素敵なおじさんだったとは驚きです。
文句を言いながらもトランボを支え続けた妻と子供たちは父親を信頼し、愛するからこそできたのでしょうね。
素晴らしい人間ドラマを堪能しました。


投稿: margot2005 | 2016年8月14日 (日) 23時23分

セレンさん☆
この作品気になってます。
あまり聞いたことない名前と思ったら、そういう経緯があったのですね…
名前が売れていなくても(偽名や無名でも)本当にいいものはヒットするのですよね。
そういう作品はやっぱり後世まで残っていくものです。
私も「スパルタカス」や「パピヨン」など大好きでした。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2016年8月15日 (月) 14時54分

こんばんは!

「トランボ」の記事、お待ちしてました!

お話自体はけっこう、辛い内容なのに、トランボがいつでもユーモア精神を持ち続けていた事、彼を支える家族の描写が素晴らしかったので、見終わって元気になるタイプの作品でしたね。

私、実は「いそしぎ」未見なんですよね。音楽は有名だけどなぜか見る機会がなくて・・。セレンさんもお勧めだし近いうちに是非見てみたいです。BSで放映されないかな~。「黒い牝牛」と「栄光への脱出」も未見です。

「パピヨン」「ジョニーは戦場へ行った」は物凄い傑作ですので、いつかご覧になってみて下さいね。
「スパルタカス」はキューブリックの初期の作品で史劇ですが、「トランボ」見た後だと感慨にひたっちゃいそうです。movie

投稿: ごみつ | 2016年8月15日 (月) 22時12分

☆ margot2005さま ☆
こんばんは。
「ローマの休日」にこんな裏話があったなんて驚きました。
トランボが数々の名作の脚本を手掛けていたことを知り
他の作品も見てみたくなりました。
とりあえず「パピヨン」を早速借りてきたところです。^^

逆境にあってもユーモアを忘れないすてきなおじさまでしたね。
そして彼を信頼し、陰で支え続けた家族がすばらしい!
信念を貫いた父親は家族にとっても誇りだったでしょうね。

投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2016年8月16日 (火) 00時22分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんばんは。
赤狩りの時代を描いた作品ながら
ユーモアや家族愛を交えていて、楽しく見れました。

私も「ローマの休日」にそんな秘密があったなんて驚きました。
生活のためにB級映画の脚本もたくさん手掛けたそうですが
逆境の中で、きらりと光る名作を生み出す才能はさすがですね。

他の作品も見てみたくなって「パピヨン」を早速借りてきました。
夫の話では昔よくTVで放映されてたらしいですが...
楽しみです☆

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2016年8月16日 (火) 00時34分

☆ ごみつさま ☆
こんばんは。
不確かな恐怖のために不名誉を与えられ...
実際にはもっとたいへんなこともあったでしょうが
映画ではユーモアと家族愛を交えて描かれていて救われました。

映画を見ると、トランボの作品をいろいろ見てみたくなりますね。
「パピヨン」は先日早速借りてきました。
元の話は以前ナショジオの「奇跡のサバイバル」で読んだことがありますが
映画も楽しみです。

「ローマの休日」も、今思えば王女が本来の身分を隠しているところが
トランボの隠れメッセージになっていたのかな?と思ったりして...
他の作品も改めて見るといろいろ発見がありそうですね。^^

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2016年8月16日 (火) 00時52分

トランボ、聞いたことのない名前だと思ったら
そういう訳だったのですか。
「ローマの休日」はあまりにも名作過ぎるし
「ジョニーは戦場に行った」「パピヨン」、後味が悪いが忘れられない作品です。
これはチェックしなくちゃ…

投稿: zooey | 2016年8月16日 (火) 11時24分

☆ zooeyさま ☆
おはようございます。
あの「ローマの休日」にそんな秘密が隠されていたとは驚きますね。
赤狩り旋風が吹き荒れた当時のハリウッドの中で
静かに戦った脚本家を描いた作品です。
よかったら是非ご覧になってみてください☆

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2016年8月17日 (水) 08時45分

セレンさんとてもとてもご無沙汰しております。
台風一過でまた今年の夏が1から始まったかのような一日ですね。
小さい子どもが一緒で最近は映画館でも家でもディズニーばかり(笑)
トランボさんとは初めて知りましたが、ご紹介頂きこれもいつか必ずDVDで観てみたい作品になりました。
美術館へは子どもでも一緒に行けるものが多いので最近の楽しみは美術館です。
最近は上野のポールスミス展へ行ってきました。上野へ行ったら帰りはみはしでクリームあんみつが定番で、平日だったので並ばずすんなり入れました。

投稿: アサ | 2016年8月17日 (水) 13時05分

☆ アサさま ☆
こんばんは。お久しぶりです。
今日はまた一段と暑かったですね~

ディズニー映画は大人もいっしょに楽しめますね。
私もこの夏はジャングルブックが気になっています。^^
トランボもおもしろかったですよ。
DVDになったら是非ご覧になってみてください。

ポールスミス展、気になっていましたが、もう始まったのですね。
みはしさんのクリームあんみつ、おいしそう☆
毎日暑いですが楽しい夏をおすごしください。

投稿: ☆ アサさま ☆ | 2016年8月18日 (木) 01時07分

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