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メアリー・カサット展 @横浜美術館

記事にするのがすっかり遅くなりましたが...先月、横浜美術館に「メアリー・カサット展」(9月11日で終了)を見に行ってきました。9月27日~12月4日には、京都国立近代美術館に巡回します。
 メアリー・カサット展 公式サイト

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メアリー・カサット(1844-1926)はパリで活躍したアメリカ人の印象派画家。21歳の時にパリに渡ったカサットは、ドガと運命的な出会いをはたし、印象派展に参加しました。明るく豊かな色彩で身近な女性たちを描き、特に母と子の絆を描いた作品で知られています。

ポスターの慈愛あふれる作品に魅了され、楽しみにしていた本展。まとめて見ることの少ないカサットの代表作を中心に、親交のあった画家たちの作品やカサットが収集した浮世絵などが展示され、カサットの魅力がまるごと堪能できる企画展でした。

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桟敷席にて (1878)

オペラグラスで舞台を一心に見つめる、きりりとした横顔が印象的。向うの席からこちらを見ている男性がいますが、一向に気にする様子がありません。肌を見せない昼間の服装でマチネを見に来た女性は、カサットが求めていた新しい女性像なのかもしれません。

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眠たい子どもを沐浴させる母親 (1880)

眠くて目がとろん、足がだらんとしている幼子。無防備で安心しきった表情と、それを優しく見つめる母親の姿が相まって、見ていて幸せになる作品です、。肌に青をのせて透明感を表現しているところは、ルノワールの作品に通じるものを感じました。

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浜辺で遊ぶ子どもたち (1864)
ぷくぷくしたほっぺ、足を投げ出す無垢な姿が愛らしい。平和で満ち足りたひと時を感じる作品です。

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夏の日 (1894)
モネの「舟遊び」を思い出しました。キラキラと輝く水面から夏の明るい陽射しが伝わってきます。

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果実をとろうとする子ども (1893)
ピンクとグリーンの色の対比が美しい。くっきりとした輪郭線に、力強さと生命力を感じました。

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母の愛撫 (1896)
むちむちとした子どもの感触が伝わってくるような作品。母と子の豊かで濃密な時間が感じられます。

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沐浴する女性 (1890-91)

印象派のほかの画家たちと同じく、浮世絵から大きな影響を受けたカサットは、多色刷りの版画作品も数多く残しています。喜多川歌麿や鳥居清長の美人画に感動したカサットは、女性の日常や母子に自らのテーマを見出しました。構図や小物の使い方にも浮世絵の影響が伝わってきます。

Mary_cassatt_18 湯あみ(たらい) (1890-91)

2年前に「ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展」で見た作品にも再会しました。(版画なので正確には違う刷りですが)

女性が画家になることが難しかった時代に、ドガのような理解者と出会い、ベルト・モリゾといった他の女性画家たちと親交を深めながら、女流画家ならではの視点で独自の作風を切り開いていったメアリー・カサット。作品とともに、その生き方にも魅力と共感を覚えました。

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コメント

こんばんは!

この展覧会は私もちょっと気になってました。
横浜美術館は、ちょと前にやってたホイッスラー展もですが、著名でありながら、なかなか日本では回顧展が見られない様なアーチストの展覧会をやりますよね。

遠いのであんまり行けないのが残念です。

記事でアップされてる写真だと、確かに印象派の雰囲気が伝わってきますね。モネを思わせる作品もあるし、暖かみのある子供の絵はルノワールを彷彿とさせます。

最後の浮世絵の影響をうけた作品も素敵ですね!女性でもこれほど才能のある作家さんがいたんだな・・と感慨を覚えます。

この展覧会は終わってしまったみたいですが、これからも横浜美術館の特別展は要チェックですね。

投稿: ごみつ | 2016年9月16日 (金) 18時34分

☆ ごみつさま ☆
こんばんは。

メアリー・カサット展、よかったです☆
まとめて見ることで、作品の変遷とともに
カサットの人生に寄り添うことができたように思います。
女性ならではの視点で描かれた作品が多かったですが、
その陰に日本の浮世絵が影響を与えていたことが誇らしく
運命の不思議を思いました。

常設展も企画展にあわせて、女流画家の作品を展示していて
心憎い演出でしたよ。
また今後のスケジュールも気になりますね。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2016年9月16日 (金) 23時43分

セレンさんこんにちは。
セレンさんのこの記事を見てから女流画家や女性をモデルにした作品に引き寄せられたのか、先週末、横須賀のお墓参りのついでに寄った横須賀美術館でとても素敵な作品を見ることができました。
『女性を描く』という企画展ですが、美術館の雰囲気と展示の仕方も相まってとても充実した時間を過ごす事ができました。
もし興味があればのぞいてみてください。

投稿: アサ | 2016年9月23日 (金) 13時48分

☆ アサさま ☆
アサさん、こんばんは。
すっかり秋めいてきましたね。

横須賀美術館は海の眺めがすばらしく
建物もすてきな美術館ですね。
観音崎から見る浦賀水道の風景が好きで
観音崎ホテルの横の遊歩道は
ドライブのついでに訪れるお気に入りのスポットです。

「女性を描く」という企画展も興味深いです。
時間がとれたら是非行ってみたいです。
ご紹介、ありがとうございました☆

投稿: ☆ アサさま ☆ | 2016年9月23日 (金) 23時25分

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