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2016年10月

パラダイス・ナウ / 歌声にのった少年

オマールの壁」のハニ・アブ・アサド監督による、パレスチナの今を描いた2作品です。

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パラダイス・ナウ (Paradise Now)(2005)

パレスチナに住むサイードとハーレドは、自爆テロの実行役に選ばれます。取り外しのできない爆弾を体に巻き付け、正装し、メッセージビデオを撮った二人は、仲間に車で送られてテルアビブに向かいますが、途中でイスラエル軍に捕まりそうになり、逃げるうちにサイードは仲間とはぐれてしまいます...。

6月に「オマールの壁」を見て衝撃を受け、すぐにこの作品のDVDを借りました。「オマールの壁」でパレスチナの現状についての予備知識を得ていたので、彼らが抱えている問題や取り巻く状況について、すんなりと理解して見ることができてよかったです。

サイードは、帰郷した独立運動の英雄の娘スーハと会い、親しくなります。ヨーロッパで教育を受けたスーハは、暴力以外にパレスチナが訴える道があるはずだと力説しますが、長年、先の見えない貧困と不自由の中にいるサイードには、空虚な理想論としか思えません。

また、父がかつて密告者として罰せられたことは、サイードにとって消えることのない大きな罪となっていました。彼が自爆テロに向かう途中で仲間とはぐれたのは偶然ですが、そのことで自分も裏切り者とみなされることを恐れ、ただひとり、テルアビブへと向かうのです。

サイードたちが住む瓦礫の貧しいパレスチナの町並みと、最後に登場する豊かで近代的なイスラエルの大都市テルアビブ。そのあまりの落差に愕然としました。メッセージビデオを撮るシーンには、シリアスな中にも滑稽さがあり、アサド監督らしさを感じました。

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歌声にのった少年 (Ya Tayr El Tayer / The Idol)(2015)

パレスチナ・ガザ地区に住むムハンマド少年と、活発な姉ヌールは音楽が大好き。仲間とバンドを組み、おんぼろ楽器で演奏活動をしていますが、ヌールは、ムハンマドがいつか立派な歌手になると信じていました。しかしヌールは腎臓病に侵され、手術を受けられずに亡くなってしまいます。

青年になったムハンマドは、”スターになって世界を変える”という姉の夢をかなえるために、オーディション番組「アラブ・アイドル」に出ることを決意。パスポートやビザをやりくりしたムハンマドは、なんとかエジプトに入国し、カイロの会場にたどり着きますが...。

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アサド監督の最新作が公開されていると知って、遅ればせながら見に行ってきました。パレスチナ・ガザ地区出身の歌手、ムハンマド・アッサーフのサクセスストーリーを映画化。パレスチナの厳しい現実をさりげなく織り込みながらも、希望が与えられる作品でした。

前半はムハンマドの少年時代の物語。音楽が好きで、大きな夢があって、ひたむきにたくましく生きる子どもたちがとにかくかわいい。時にスリリングなエピソードを交えつつ、物語はテンポよく進みますが、その中にも姉弟愛がしっかりと描かれていて、のちのムハンマドの決意が自然な思いとして受け止められました。

スカイプでオーディションを受けようとしたらイスラエルに電気を止められ、手に入れた発電機は壊れてしまう。エジプトまで行くことを決意するも、パレスチナを出るのも命がけ。パスポート、ビザ、チケット...いくつもの難関を乗り越え、オーディションを受けるまでがまるでサバイバルゲームのようでした。

ムハンマドが予選を勝ち抜いていく展開は、結果が予想できるだけに少々冗長に感じられましたが、祖国の期待を一身に背負い、重圧に押しつぶされそうになりながらも、果敢にチャレンジしていく姿に心を打たれました。

原題の Ya Tayr El Tayer はムハンマドが最終戦で歌った歌で、英語では Oh Flying Bird という意味らしい。故郷への思いを切々と歌った歌は、どこか日本の演歌にも通じるものを感じました。

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鈴木其一 江戸琳派の旗手 @サントリー美術館

六本木のサントリー美術館で開催されている「鈴木其一 江戸琳派の旗手」展(~10月30日まで)を見ました。会期中、5期にわたって展示替えがあり、私が見たのは第2期です。東京展のあとは、姫路市立美術館、京都の細見美術館に巡回します。(「朝顔図屏風」は東京展のみ)

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江戸琳派の祖、酒井抱一の一番弟子で、後継者として知られる鈴木其一。本展は、其一の代表作品と師弟の作品を一堂に集めた回顧展で、ニューヨークのメトロポリタン美術館から、其一の傑作「朝顔図屏風」も来日しています。

琳派は、尾形光琳に代表される江戸時代に発展した造形芸術の流派で、シンプルな構図や豊かなデザイン性は、今に通じる洗練された表現がありますが、江戸から明治への橋渡しを担ったのが、其一といえるかもしれません。作品を通じて、日本の四季や自然の美しさを改めて実感しました。

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群鶴図屏風 (ファインバーグ・コレクション)
尾形光琳の群鶴図に倣ったとされる作品。光琳と同じく左右に水流を配していますが、鶴の姿は写実的で、一羽ずつ繊細な描写がなされています。さりげない立ち姿ですが、構図に計算されたみごとなバランスを感じました。

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萩月図襖 (東京富士美術館)
紅白の萩の花を照らす月明り...秋らしい風景が、詩的で風雅な作品です。繊細な花々と流れるような枝ぶり。月と対話しているような構図もすてきです。

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水辺家鴨図屏風 (細見美術館)
鶴とはひと味違って...よちよち歩くアヒルたちの姿が愛らしい。

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(左) 夏宵月に水鶏図 (個人蔵)
(右) 三十六歌仙図 (出光美術館)

酒井抱一から受け継がれたという描表装(かきびょうそう)の作品です。描表装とは、本来の絵の周りの表装部分を絵で描く、一種のだまし絵。パッチワークのような華やかさがあって、柄合わせのセンスも楽しめました。

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朝顔図屏風 (メトロポリタン美術館)

本展のハイライトであり、其一の最高傑作でもある「朝顔図屏風」。12年ぶりの来日です。構図と群青と緑青の色彩構成は、尾形光琳の「燕子花図屏風」を彷彿させますが、マチスの「ダンス」も思い出しました。^^ 大きな屏風いっぱいに広がる朝顔は、躍動感と生命力にあふれていて、圧倒されました。

青山の根津美術館では、「燕子花と八橋」(2012)「燕子花と高白梅」(2015)と、これまでにも魅力的な競演を堪能しましたが、いつの日か「燕子花と朝顔」が実現したらうれしいです。

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(左) 藤花図 (細見美術館)
(右) 花菖蒲に蛾図 (メトロポリタン美術館バークコレクション)

どちらも花を丹念に写実的に描いた作品で、特に薄紫色のヴァリエーションに魅せられました。花菖蒲はひとつひとつ違う色・模様に描き分け、蛾のグレーのアクセントも効いています。蛾がこんなに美しいなんて...感動しました。

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柳原良平 海と船と港のギャラリー &横浜オクトーバーフェスト

10月10日の体育の日、みなとみらいにある横浜みなと博物館に「柳原良平 海と船と港のギャラリー」(~11月6日まで)を見に行きました。昨年、柳原さんが亡くなられた後に横浜市に寄贈された作品の中から、約150点が展示されている回顧展です。

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柳原良平さんは美大卒業後、サントリーに入社。”アンクルトリス”の広告デザインで人気を博しました。子どもの頃から船が大好きだった柳原さんは、港が見える横浜に住み、横浜港をはじめ、国内、世界各地の港や船をモチーフとしたイラスト、絵画を描き続け、また船にまつわる本も数多く執筆しています。

アンクルトリスの角張った独特のイラストが、切絵で描かれていることを今回初めて知りましたが、このほか、ペン画、水彩画、油彩画、リトグラフなど、多彩な表現で描かれる海と船と港の世界は、どれものびのびとして明るく、旅情をかきたてられました。

特に横浜出身の私にとって、横浜港は小さい頃からの大切な思い出とともにある場所なので、懐かしさで心がぎゅ~っと締めつけられました。大きな客船だけでなく、観光船やコンテナ船、港で働く船など、どの船も表情豊かに生き生きと描かれていて、柳原さんの船への大きな愛情が伝わってきました。

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横浜港 (リトグラフ 1990)

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飛鳥入港 (油彩画 1995)

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さて...横浜みなと博物館の前のドックには、1984年に引退した帆船日本丸が保存され、一般公開されています。この日は年に12回ある”総帆展帆”(そうはんてんぱん)の日でした。(年間スケジュールはコチラ

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いつもはたたんである帆を、この日は訓練を受けたボランティアの方たちがマストに上り、約1時間かけて29枚すべて広げます。高いところに上るのはなかなか勇気がいりますが、女性のボランティアも多いそうですよ。

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すべて広げるとこのような晴れ姿に。この日は国際信号旗を船首から船尾まで飾る”満船飾”(まんせんしょく)もあって、いっそう華やか。優美な姿に魅了されました。

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このあと、汽車道を歩いていると、今月グランドオープンしたばかりの水陸両用バスが、海上を進んでいるのが見えました。横浜みなと博物館の横に乗り場があり、関内~大桟橋~みなとみらいの横浜らしい風景を、海から、陸から見て回れます。(詳細はコチラ

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沿岸のスロープをのぼって...ここから陸路を走ります。横のクジラさんのイラストがかわいい。見慣れた風景も、いつもと違った目線で見れるかも? 機会があれば、乗ってみたいです。

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この日は赤レンガ倉庫で「横浜オクトーバーフェスト2016」(10月16日で終了)もありました。オクトーバーフェストはドイツ・ミュンヘンで開催される世界最大のビール祭り。横浜は日本のビール産業発祥の地ということもあり、2003年から開催されているそうです。本場ドイツからもたくさんのビールが来日していました。

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特設会場の中ではドイツの楽団による生演奏があり、歌って、踊って、飲んで、食べて...と大盛り上がりでした。私たちは建物の外の席に座りましたが、それでも熱気が伝わってくるほど。ふだんはめったにないことですが、隣の席の人たちとも自然と会話がはじまります。

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ビールのことはさっぱりわからないので、選ぶのは家族にまかせて...ドイツのローカルビールがたくさんあって興奮していました。右のLicher(リヒャー)は以前住んでいた小さな町のビールらしい。ジョッキはデポジット制で返すとお金がもどってきますが、これは記念に持ち帰りました。

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THE APOLLO (アポロ)

銀座東急プラザ最上階にこの春オープンした、オーストラリア発のモダンギリシャ料理レストラン THE APOLLO (アポロ)にお昼を食べに行きました。

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(HPよりお借りしました)

若い頃にギリシャを訪れた時、お料理がどれも口に合わなくて困った経験があったので、ちょっぴり心配していたものの、こちらのお店には好奇心を刺激され、オープンした時から気になっていました。

ギリシャ料理をフィーチャーしたモダンで洗練されたオーストラリア料理は、どれもおいしくて大感激。白を基調としたスタイリッシュな空間と遊び心のあるお料理に、日常を離れたわくわく感を楽しみました。

お料理はギリシャの伝統的なスタイルでサーヴされ、ひとつのお料理をシェアしていただくようになっています。食前酒、前菜、メインディッシュ、サイドディッシュ、デザート、コーヒーがつくコースをいただきました。

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前菜は3品。こちらはトマト、きゅうり、カラマタオリーブをドレッシングであえ、塩味の効いたフェタチーズをのせたグリークサラダ。食べる時にはフェタチーズを崩し、全体に混ぜていただきます。

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イエローえんどう豆のディップ&アポロオリジナルのピタブレッド。ピタブレッドは小さなピッツァボックスに入れてサーヴされます。ディップがとってもおいしくて、たっぷりつけていただきました。イエローえんどう豆と聞くと、メンデルの法則を思い出します。^^

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食前酒にいただいた”ペアセフォーネ”というカクテルがおいしかった! ウォッカベースのカクテルにほんのりパクチーがアクセントになっていて、きりっとスタイリッシュな味わいでした。

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メインディッシュには、豚肩ロース肉のグリルをいただきました。お肉の扱いの上手さは、さすがオーストラリア。表面は香ばしく、中はほろりと柔らかかったです。

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サイドディッシュにアスパラガスとフェタチーズ。

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デザートのレモンパイは、すごくユニークでした。レモンカードにクッキークラムをのせ、その上にメレンゲをしぼりだしてベイクしています。伝統的なレモンパイよりヘルシーで、さっぱりとおいしくいただきました。

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ギリシャ料理の話をしたら、知人からおもしろい映画を教えてもらいました。

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マイ・ビッグ・ファット・ウェディング (My Big Fat Greek Wedding)

シカゴに住むギリシャ系アメリカ人の結婚騒動を描いた、2002年のロマンティック・コメディ。”女に学問はいらない。ギリシャ人と結婚するのが一番”という頑固親父のもとで育ったヒロインが、自分で人生を切り開き、文化の壁を乗り越えて結婚するまでが、ユーモアたっぷりに描かれます。

オリジナルは、ヒロインを演じたニア・ヴァルダロスによる、自身のエピソードをもとにした一人舞台。それがトム・ハンクスの妻で同じくギリシャ系のリタ・ウィルソンの目に留まり、映画化への運びとなったそうです。大家族の煩わしさとともに、絆の強さと愛情の深さが伝わってきて、温かい気持ちになる作品でした。

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ジェイソン・ボーン

マット・デイモン主演×ポール・グリーングラス監督のスパイアクション、「ボーン」シリーズ最新作、「ジェイソン・ボーン」(Jason Bourne)を見ました。
run ジェイソン・ボーン 公式サイト

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記憶を消され、CIAの暗殺者として育成されたジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は、組織を告発したあと姿を消し、現在はアテネでストリートファイターとしてひっそりと暮していました。

一方、ボーンの元同僚ニッキー(ジュリア・スタイルズ)がアイスランドのレイキャビクからCIAのシステムに侵入していることを知ったCIA捜査官のヘザー・リー(アリシア・ヴィキャンデル)は、ボーンと接触しようとするニッキーを追いますが...。

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9年ぶりとなるマット・デイモン&グリーングラス監督によるボーン最新作を楽しみにしていましたが、期待通りにおもしろかった! 最初から最後までのノンストップアクションとスリリングな展開に、終わった時にはふ~っと疲れてしまいましたが、心地よい満足感を味わいました。

グリーングラス監督の甘さを排したハードボイルドな展開は大好き。マット・デイモンのサイボーグのような強さと、内に悲しみを秘めた演技にも、ぐっときてしまいます。過去3部作とスピンオフの「ボーン・レガシー」を見てなくても(忘れていても?)楽しめるように、うまく作ってありましたね。

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ボーンを追う若き野心家のCIA捜査官リーに、今売れに売れているアリシア・ヴィキャンデル。彼女のボスのCIA長官デューイに、BOSSのトミー・リー・ジョーンズ。(ただこれが言いたかっただけ^^;)

リーは、ボーンをCIAに呼び戻すようデューイに働きかけますが、それはボーンを信頼しているからか、あるいは自分の野心を満たすためか...。彼女はデューイに対して明らかに不信感を見せていましたが、あれだけ憎しみを募らせるのには、何か特別な理由があるのかな?と深読みしてしまいました。^^

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デューイから託された、ボーンをねらう凄腕の暗殺者にヴァンサン・カッセル。ボーンとは互いに少なからず因縁がある間柄で、2人の駆け引きにはらはらしました。ヴァンサン・カッセルは、私の中ではアクションのイメージがあまりなかったので、こういうハードな殺し屋役は新鮮でした。

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世界を情報監視下に置こうと目論むCIAが、パートナーに選んだITカンパニー社長にリズ・アーメッド。どこかで見たような...と思ったら、「ナイトクローラー」に出ていた助手の男の子でした。彼は「ローグ・ワン/スターウォーズストーリー」にもキャスティングされている注目株の俳優さんですね。

Facebookの若きCEOマーク・ザッカーバーグと、FBIに個人情報提供協力を拒否したAppleのクックCEOをあわせたようなキャラクターでした。リーとは大学の同窓という設定で、感覚的にも近そうなので、今後彼女と関わっていくようになるのかな?

アリシアが演じる冷徹なリーもチャーミングでしたが、そのさらに上手(うわて)をいくボーン...というラストににやりでした。続編も楽しみです。

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余談ですが...レイキャビクでのハッキングのシーンで、停電してハッカーたちがざわめく中で一瞬日本語が聞こえたことにびっくり。心理学ではカクテルパーティ効果といいますが、人間の脳の能力ってすごいですね。

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四川 @都ホテル

9月のある休日、白金の都ホテルにある中華料理のレストラン「四川」(しせん)にぶらりとお昼を食べに行きました。
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都ホテルは家から行きやすいのと、駅から少し離れていることもあってあまり派手でなく、隠れ家的な雰囲気があるところがお気に入り。この日はお店の看板料理の麻婆豆腐がつくランチセットを楽しみました。

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メニューは半月毎に変わります。この日は9月の後半だったので、まだ少し夏の名残りを感じさせるラインナップでした。前菜は棒棒鶏風の和え物と搾菜、酸味を効かせたスープ。

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そしてごはんといっしょに麻婆豆腐が運ばれてきました。唐辛子をはじめ、何種類もの香辛料を使った麻婆豆腐は薬膳のような複雑な味わい。ピリリと辛いだけでなく、体にもよさそうです。

家族が辛いものが好きなので、実は麻婆豆腐は得意料理のひとつ。^^ でもたまにプロのお料理をいただくといろいろ勉強になります。

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メインのお料理は4種類の中から選ぶので、そのうち3つを選んでシェアしていただきました。これは茄子と豚肉の細切りの四川風の辛い炒めもの。

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白舞茸と牛肉の炒めもの。これも青唐辛子がぴりりとした味わい。

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そして海鮮を四川風に辛く仕上げた炒めもの。海鮮は淡白にいただくことが多いですが、たまにはこういうのもいいですね。四川料理なので、全体的に唐辛子を効かせたお料理が多いですが、ごはんによく合いおいしくいただきました。

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食後はお庭を散策しました。それほど広くはないですが、深々とした緑に心が落ち着きます。ところが...9月の終わりとはいえ、夏のような暑さだったこともあり、この日はなぜか短い時間に私だけ盛大に蚊に刺されてしまいました。><

この少し前にNHKの「ガッテン!」を見て知ったのですが、蚊に刺される人は足の裏の常在菌の種類が多いのだそうです。(決して不潔なわけではないですよ! 詳細はコチラ) この(世界を感染症から救うかもしれない)貴重な発見をしたのが高校生というのもすばらしい。感動しました。

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ひなぎく

チェコ・ヌーヴェルヴァーグの代表作で、今なおカルト的な人気を誇る1966年のチェコスロバキア映画、「ひなぎく」(Sedmikrasky / Daisies)。先月、2週間にわたってユジク阿佐ヶ谷で50周年記念上映をしていたので見に行ってきました。
virgo ひなぎく 公式サイト

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ファッション、音楽、アートなど、クリエイティブな世界で活躍するアーティストたちから絶大な支持を集めている本作。スチールを見ると、私は80年代の雑誌「オリーブ」を思い出してしまうのですが、こういうレトロなヨーロピアンテイストが大好きなので、今回の公開を楽しみにしていました。

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ストーリーはかなりハチャメチャ。自由奔放な2人の少女たちが、レストランやダンスホールなど、神出鬼没に現れては、悪ふざけしたり、いたずらしたり。傍若無人なふるまいで周りを騒動に巻き込みます。

最後は荷物用のエレベーターに乗り込んで、(党幹部のためと思われる)豪華な部屋に忍び込み、ごちそうを見つけて大興奮。片っ端から手づかみで食べ、飽きると投げつけ、お皿を踏みつけ、全てをめちゃくちゃにしてしまいます。

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60年代のファッションや音楽、コラージュのような映像表現は今見ても新鮮で、一見おしゃれでかわいらしい作品ですが、唐突に現れるモノクロームの爆撃映像や、2人が発する謎めいた言葉の断片など、なにやら背後に政治的メッセージが感じられます。

それというのも、この作品が作られた1966年のチェコスロバキアは、社会主義体制の中にいて、人々が自由を求めてもがいていた時代。(「存在の耐えられない軽さ」を思い出します。)

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実際、少女たちの自堕落な生き方が”反体制的である”ととられたのか、はたまた突き抜けた映像表現が”西側諸国的である”とみなされたのか、この作品は公開後間もなく上映禁止処分を受けてしまったそうです。

そして2年後の1968年、チェコスロバキアはソ連から武力制圧を受け、ようやくつかみかけていた思想的自由を完全に奪われることとなるのです。(いわゆる”プラハの春”)

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そうした視点から映画の少女たちを見ると、つかの間の自由を謳歌しつつ、それが叶わないことを予感して絶望する、彼女たちの心の叫びが聞こえてくるような気がしました。

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「ひなぎく」の前に、(左)「闇・光・闇」(1989) (右)「対話の可能性」(1982)という2つのチェコ・アニメーションの短編映画が上映されたのですが、こちらもかなりシュールで独特の雰囲気をもった作品。テイストは全く違うものの「ひなぎく」の影響が見てとれて、いいウォーミングアップになりました。

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ユジク阿佐ヶ谷は、昨年オープンしたばかりのミニシアターだそうです。待合室には北欧風の椅子やベンチが並び、壁にはすてきな黒板アートも! 手作りの温かい雰囲気にほっとなごみました。

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La Brianza (ラ・ブリアンツァ)

映画を見た後に、六本木ヒルズに新しくオープンしたイタリアン・レストラン La Brianza (ラ・ブリアンツァ)でお昼にしました。
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以前、麻布十番の本店を訪れた時は満席で入れず、先日六本木ヒルズのこちらのお店を訪れた時はパーティで貸切りで、今回3度目にしてようやく入ることができました。映画が約90分と短かったので、早い時間に行けたのが幸いしました。とにかく人気のレストランなので、予約をした方が確実です。

前菜、パスタ、デザートをそれぞれ選ぶプリフィクスのコースをいただきました。

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奥に写っているのは、最初に運ばれてきたおつまみパン。バジルペーストを練り込んだ小さな揚げパンですが、塩味が効いておいしかった。

前菜は、私はお店のお勧めというカプレーゼにしました。オーダーする時はつまらないかな?と心配だったのですが、とんでもない。イタリア直送という水牛のモッツァレラは、はんぺんのようにふわふわとろとろで、初めて出会うおいしさ。感激しました。

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地鶏の鶏ハムがたっぷり入ったボリュームいっぱいのシーザーサラダ。

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パスタは、私は真鰯のシチリア風パスタにしました。松の実とカリカリパン粉、フェンネルがアクセント。先日に続いて、最近の私は鰯のシチリア風パスタが食べたい気分が続いています。鰯がほろほろと柔らかくておいしかった。今の季節でしたら、秋刀魚で作ってもおいしそう。

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こちらはパンチェッタを使ったスパゲティ・アマトリチャーナ。8月のイタリア中部地震の被災地であるアマトリーチェの名物料理で、復興支援メニューとなっていました。(詳細はThe Huffington Post

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クレームダンジュ風のチーズデザート。さわやかな酸味がおいしい。

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こちらはおなじみティラミス。ひと口サイズがちょうどいい。

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カフェラテにはかわいいラテアートも! 思わずにっこりしました。

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ハドソン川の奇跡

クリント・イーストウッド監督×トム・ハンクス主演、2009年ニューヨークで起こった飛行機不時着水事故の知られざる実話に基づくドラマ、「ハドソン川の奇跡」(Sully)を見ました。
airplane ハドソン川の奇跡 公式サイト

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2009年1月15日、155名を乗せた旅客機がニューヨークのラガーディア空港を離陸後まもなく上空でバードストライクに遭い、両エンジンが完全に停止してしまいます。空港にもどれないと判断したサリー機長(トム・ハンクス)は、マンハッタンの隣りを流れるハドソン川に不時着水することを決断し、成功させます。

その後の迅速かつ的確な救出によって全員が無事に生還し、機長は一躍英雄として称賛されますが、間もなくこの判断が適切であったかどうかが問題となり、事故調査委員会の厳しい追求を受けることとなります...。

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2009年に起こったこの事故のことはよく覚えています。”ハドソン川の奇跡”として全米を感動に包んだこの事故を、イーストウッド監督はどのように映画化したのか、見るのを楽しみにしていました。

冒頭からいきなり、9.11を思い起こさせるシーンに意表をつかれ、ドキッとしましたが、このワンシーンで、あのテロ事件以来、機長をはじめ誰もが飛行機に乗るたびに、この恐怖と闘ってきたのだろうな...と想像しました。

映画は、一見「ユナイテッド93」や「キャプテン・フィリップス」を思わせる、淡々としたドキュメンタリーのような作りでしたが、心温まるエピソードを交えつつ、サリー機長のプロフェッショナルな姿勢や誠実な人柄が、少しずつ肉付けされるように描かれていくところがよかった。

これまで機長を称賛する話しか聞いたことがなかったので、予告映像で見た容疑者ということばに???と思っていましたが、映画では、事故調査委員会をあえて悪役として描くことで、サリー機長がどれほど非凡な人物であるか、鮮やかに浮かび上がらせていたように思いました。

結果がわかっていても最後の最後まではらはらさせるイーストウッド監督の手腕はさすが。映画が終わった時には静かな感動とともに、大きなカタルシスを感じました。

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世界有数の飛行機が忙しく飛び交うニューヨークの上空、その下には超高層ビルが立ち並ぶマンハッタン、そして冬には氷点下となる、フェリーが行き交うハドソン川。一歩間違えれば大惨事となるこの状況下で、わずか数十秒のあいだに最善の判断をくだし、不時着を成功させたサリー機長。

これが大洋のまん中でなく、マンハッタンのすぐ横だったことで、救助隊がすぐに駆け付けることができたのも幸いでした。サリー機長をはじめ、副機長、乗務員、救助隊...関わった全員が最善を尽くし、バトンをつないだことで、このミラクルは成し得たのだと思います。

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カナダグース  @セントラルパーク (2007/04)
事故の発端となったカナダグース。ニューヨークではよく見る鳥で、特に冬は隊列を作って飛ぶ姿や、広い芝生の公園などにびっしりといて休んでいる姿をよく見かけたものです。

バードストライクもよく聞くアクシデントで、飛行機もたいていの場合には対応できるよう設計されているはずですが、ナショナルジオグラフィックの「奇跡のサバイバル」によると、サリー機長たちが遭遇したカナダグースの大群は、数も大きさも半端なかったそうです。

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