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鈴木其一 江戸琳派の旗手 @サントリー美術館

六本木のサントリー美術館で開催されている「鈴木其一 江戸琳派の旗手」展(~10月30日まで)を見ました。会期中、5期にわたって展示替えがあり、私が見たのは第2期です。東京展のあとは、姫路市立美術館、京都の細見美術館に巡回します。(「朝顔図屏風」は東京展のみ)

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江戸琳派の祖、酒井抱一の一番弟子で、後継者として知られる鈴木其一。本展は、其一の代表作品と師弟の作品を一堂に集めた回顧展で、ニューヨークのメトロポリタン美術館から、其一の傑作「朝顔図屏風」も来日しています。

琳派は、尾形光琳に代表される江戸時代に発展した造形芸術の流派で、シンプルな構図や豊かなデザイン性は、今に通じる洗練された表現がありますが、江戸から明治への橋渡しを担ったのが、其一といえるかもしれません。作品を通じて、日本の四季や自然の美しさを改めて実感しました。

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群鶴図屏風 (ファインバーグ・コレクション)
尾形光琳の群鶴図に倣ったとされる作品。光琳と同じく左右に水流を配していますが、鶴の姿は写実的で、一羽ずつ繊細な描写がなされています。さりげない立ち姿ですが、構図に計算されたみごとなバランスを感じました。

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萩月図襖 (東京富士美術館)
紅白の萩の花を照らす月明り...秋らしい風景が、詩的で風雅な作品です。繊細な花々と流れるような枝ぶり。月と対話しているような構図もすてきです。

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水辺家鴨図屏風 (細見美術館)
鶴とはひと味違って...よちよち歩くアヒルたちの姿が愛らしい。

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(左) 夏宵月に水鶏図 (個人蔵)
(右) 三十六歌仙図 (出光美術館)

酒井抱一から受け継がれたという描表装(かきびょうそう)の作品です。描表装とは、本来の絵の周りの表装部分を絵で描く、一種のだまし絵。パッチワークのような華やかさがあって、柄合わせのセンスも楽しめました。

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朝顔図屏風 (メトロポリタン美術館)

本展のハイライトであり、其一の最高傑作でもある「朝顔図屏風」。12年ぶりの来日です。構図と群青と緑青の色彩構成は、尾形光琳の「燕子花図屏風」を彷彿させますが、マチスの「ダンス」も思い出しました。^^ 大きな屏風いっぱいに広がる朝顔は、躍動感と生命力にあふれていて、圧倒されました。

青山の根津美術館では、「燕子花と八橋」(2012)「燕子花と高白梅」(2015)と、これまでにも魅力的な競演を堪能しましたが、いつの日か「燕子花と朝顔」が実現したらうれしいです。

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(左) 藤花図 (細見美術館)
(右) 花菖蒲に蛾図 (メトロポリタン美術館バークコレクション)

どちらも花を丹念に写実的に描いた作品で、特に薄紫色のヴァリエーションに魅せられました。花菖蒲はひとつひとつ違う色・模様に描き分け、蛾のグレーのアクセントも効いています。蛾がこんなに美しいなんて...感動しました。

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コメント

こんばんは!

わ~、この展覧会素敵ですね~。
セレンディピティさんは、琳派がお好きですよね。

琳派の記事の時は、記事全体がとても華やかになるのを、毎回感じます。

マチスの「ダンス」みたいとおっしゃてる、朝顔の絵、本当に「ダンス」みたいですね。可愛らしいし、動きがあって流れる様な躍動感を感じます。

アップされてる作品、どれも心をひかれます!アヒルも可愛いし、最後の藤の絵は見事ですね。

投稿: ごみつ | 2016年10月27日 (木) 22時51分

☆ ごみつさま ☆
おはようございます♪
鈴木其一展、ポスターの作品に惹かれて楽しみにしていました。
琳派のデザイン性、大好きです。
金箔を使った作品が多いので、やはり華やかになりますね~☆
花鳥画もすてきでした。

朝顔の作品、「ダンス」に見えますよね!
共感してくださってうれしいです。^^

会期中、作品の入替えがあるので
ほんとうは何度か通いたいところですが...
それでもすてきな作品に出会えて大満足でした☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2016年10月28日 (金) 07時59分

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