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ゴッホとゴーギャン展 @東京都美術館

上野の東京都美術館で開催している「ゴッホとゴーギャン展」(~12月18日まで)を見に行きました。ゴッホとゴーギャン、2人の関係にフォーカスした企画展で、関連画家の作品をふくめ計68点が展示されています。

ゴッホとゴーギャン展 特設WEBサイト
Van Gogh and Gauguin: Reality and Imagination

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オランダからフランスに移り住み、情熱的なタッチで迫力ある写実画を描いたゴッホ。一方、世界を旅して原始社会に理想を見出し、想像力豊かな作品を残したゴーギャン。同じ時代を生きた2人の画家は1988年、南仏アルルにあるゴッホの”黄色い家”で共同生活をはじめました。

お互いに刺激を与え合いながらも、芸術観と性格の違いから時に激しく衝突し、わずか9週間で2人の生活は破綻しましたが、手紙でのやりとりはゴッホが亡くなるまで続いたそうです。

本展では2人の軌跡をたどりつつ、作品を通じて2人の違いや関係を見ることができました。ゴッホが描く陽光あふれる南仏の風景と、ゴーギャンが描くイマジネーションの世界を堪能しました。

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ゴッホ 「自画像」 (1877)

ゴッホが生まれ育ったオランダ時代の作品はどれも暗い色調でしたが、パリに移り住んでからは花が開いたように明るく洗練された作風になりました。またこの時初めて鏡を手に入れたそうで、パリでの2年間で30点近くの自画像を残しています。よく自画像を描いたのはモデルを雇うお金がなかったためでもありました。

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ゴーギャン 「自画像」 (1885)
こちらはゴーギャンが、コペンハーゲンの妻の実家で描いた自画像。この頃、株式仲買人の仕事を辞め、画家になる決意を固めました。

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ゴッホ 「収穫」 (1888)

南仏アルルに移り住んだゴッホが、初めて迎えた小麦の収穫風景を描いた作品。そういえば麦秋は夏の季語だと思い出しました。さんさんと輝く陽光の下、明るい色彩がパッチワークのように連なる田園風景が美しい。弟テオへの手紙にも自身の”最高傑作”と書き送った自信作です。

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ゴーギャン 「ブドウの収穫、人間の悲惨」 (1988)

一方こちらは、ゴーギャンがゴッホとの共同生活中に描いた作品。アルルのぶどうの収穫風景に、なぜかブルターニュの農婦(左)と、ペルーのミイラのポーズをとった悲嘆にくれる女性(手前)がいっしょに描かれています。ゴッホはゴーギャンの想像力を称賛し、大いに刺激を受けたそうです。

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ゴッホ 「ゴーギャンの椅子」 (1888)
ゴッホがアルルでの共同生活中に描いたゴーギャンの椅子。椅子の上に置かれたろうそくと本は、ゴーギャンの豊かな想像力を象徴しているようです。

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ゴーギャン 「肘掛け椅子のひまわり」 (1901)
一方こちらはゴッホの死の11年後、ゴーギャンがタヒチで描いた椅子です。ひまわりはゴッホが好んで描いたモチーフですが、ゴーギャンはフランスからわざわざひまわりの種を取り寄せて育て、この作品を仕上げました。

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ゴッホ 「タマネギの皿のある静物」 (1898)
耳切り事件で入院したゴッホが、退院後すぐに描いた作品。一見無造作に置かれた身の回り品ですが、ひとつひとつに意味がこめられているような気がします。

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ゴーギャン 「タヒチの3人」 (1899)
文明化されていない世界を求め、ゴーギャンはタヒチに移り住みましたが、ここにも西洋化の波は訪れていました。この作品は聖書からの隠喩で、左の女性のりんごは「悪」、右の女性の花は「善」を表現しているようです。

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コメント

こんばんは!

ゴッホとゴーギャンを同時に楽しめるなんて、やっぱり贅沢な展覧会ですよね。
記事を読ませていただいて、あらためてそう思いました。

ゴッホとゴーギャンの関係や、お互いに影響しあったであろう点なんかをテーマに観賞するととても面白そうです。

私も見に行きたいのですが、スケジュール的にちょっと厳しいかも・・。時間がとれたら是非行きたいです。

今、スープストックで、ゴッホとゴーギャンをテーマにしたスープが限定でメニュにあるのですが、先日ゴッホのたまねぎスープを飲んできました。若干甘めでしたが美味しかったですよ。ゴーギャンの麦のスープも飲みたいです。

投稿: ごみつ | 2016年11月21日 (月) 00時58分

☆ ごみつさま ☆
おはようございます。

ゴッホとゴーギャン展、作品から2人の友情や信頼関係を
感じ取ることができて、見応えのある企画展でした。

色彩も明るくきれいな作品が多く、幸せな気分を味わいました。
みんなにお裾分けしたくて、はがきもいつになく
たくさん買っちゃいました。^^

スープストックのコラボメニュー、私も気になっていました!
ごみつさんは早速召し上がったのですね☆
私も機会があったら是非いただきたいです。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2016年11月21日 (月) 08時07分

ゴッホにもゴーギャンにもまるで詳しくないのですが
「ブドウの収穫、人間の悲惨」の絵は、何故か記憶にありました。
こちら日本で初公開だったのですってね?
喜ぶべき山のようなブドウの収穫の前に、あまりにも暗い顔した女の絵。
その不合理な取り合わせが印象的だったのでした。

投稿: zooey | 2016年11月24日 (木) 14時42分

☆ zooeyさま ☆
こんばんは。
ゴーギャンのこの作品、ひと目見ると忘れられない
強烈なインパクトがありますね。
手前の女性は不機嫌そうだし
ブルターニュの農婦は死神のようにも見えるし...
タイトルも哲学的ですし。

初期の頃は写実的な作品を描いていたゴッホが
ゴーギャンと出会ってから、写実的な中にも
メッセージ性のある作品を描くようになったのが見てとれて
そんなところもおもしろかったです。

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2016年11月24日 (木) 22時41分

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